特定非営利法人東京都港区中小企業経営支援協会NPOみなと経営支援


●2013年11月「新事業推進時に知っておきたい資金調達方法」

●2013年11月「新事業推進時に知っておきたい資金調達方法」

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2013年 11月 「新事業推進時に知っておきたい資金調達方法」
        〜今、注目の補助金とクラウドファンディング〜

中小企業診断士 吉倉 英代

メールはcsjjm344@ybb.ne.jpまで願います。


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1.今後の成長戦略

「呪縛から日本を解き放ち、再び、起業・創業の精神に満ちあふれた国を取り戻すこと。若者が活躍し、女性が輝く社会を創り上げること。これこそが、私の成長戦略です。いよいよ、日本の『新しい成長』の幕開けです。」

これは、10月15日に行われた安倍首相の所信表明演説からの一文です。
今回の所信表明演説の中でとくに強調されていたのが、起業・創業やベンチャー精神の尊重で、そのための支援体制の強化でした。「経済の活性化」を最重要課題としている安倍内閣において、がんばろうとする企業を支援することによって雇用環境の改善、そして消費を喚起し、さらに事業も活性化する。これが景気回復を実現するシナリオとなります。

そこで今回は新事業を行う際に活用可能な、注目の資金調達方法についてお伝えしたいと思います。

2.新事業推進時の補助金

政府は景気テコ入れ策をいろいろ打ち出していますが、そのうちの1つが補助金です。
とくに「創業補助金」は、本年3月に24年度補正予算によって第1回の募集がスタートしましたが、6月締め切りの第2回を終えて、現在まで2459件の創業者・事業者が採択され、多くの新事業推進を後押ししています。

「創業補助金」と聞くと、「すでに事業をやっているから関係ない」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そうとも限りません。新事業を行う際に、新しく会社を設立して実施するような場合は対象になりますし、また後継者が経営承継後に行う事業も対象となります。

(1)補助金とは

さて、ここで補助金(=助成金)について簡単に説明します。
企業等が活用可能な主な助成金には、大きく分けて、@人材雇用等に関する助成金(雇用関連助成金)、A事業に関する助成金(事業関連助成金)があります。
@の助成金は、従業員を雇い入れたり、従業員福祉になることをしたときなどが対象になり、要件を満たせばほぼ間違いなく受給できるものです。

それに対してAの助成金は、新規性や独自性の高い技術やサービス等の開発や事業化、販路開拓などを行うときなどが対象になり、採択枠を決めたうえで応募してきた中から内容を審査し、採択を決定します。したがって、受給できる確率は低くなります。

全国規模のものだと、高くても10〜20%くらいで、低い場合は、5%前後になることもあります。地方自治体のもので、もう少し高いものもありますが、東京都の場合は企業数が多いのに比例して競争率も高くなるため、採択率は低くなります。

(2)驚異の採択率「創業補助金」「小規模事業者活性化補助金」

今回の補助金は、Aの事業関連助成金に該当するものです。
ただし、今回の補助金はその採択率の高さで注目を集めています。第1回第一次87%、第二次83%、第2回第一次85%、第二次75%、現在までの平均採択率77%(応募3181件のうち採択件数2459件)と、驚異的な採択率となっています。

また、この他に、本年6月には小規模事業者向けの補助金「小規模事業者活性化補助金」が出され、こちらの方は51%(応募2965件のうち採択件数1518件)でした。これも非常に高い採択率です。

創業補助金は現在、第3回の募集(12月24日締め切り)が行われていますが、これらの補助金は来年度も継続するだろうと予想されます。

(3)創業補助金の概要

@補助対象者
補助対象者は次の3種類です。これから新しく事業を始める創業者が主ですが、それだけでなく、今すでに事業をやっている人でも、新会社を設立して新事業を行う等の場合は対象になります。また、後継者が新事業を行う場合も対象になります。

A.地域需要創造型起業・創業
地域の需要や雇用を支える事業を興す起業・創業を行う者

B.第二創業
既に事業を営んでいる中小企業・小規模事業者において後継者が先代から事業を引き継いだ場合などに業態転換や新事業・新分野に進出する者

C.海外需要獲得型起業・創業
海外市場の獲得を念頭とした事業を興す起業・創業を行う者

A補助内容
 事業を実施するための開発にかかる費用のほか、広告宣伝費や専門家費用等、創業及び販路開拓に必要な経費に対して、以下の補助率、補助上限額に基づき補助を行います。(補助額が100万円に満たない場合は対象外)


B申請のポイント
申請にはいくつかのポイントがあります。
まず事業内容の採択基準としては、創業でも第二創業でもいくつかの着眼点があり、どんな事業でもいいというわけではありません。やはり、そこに何らかの新規性・独自性等が必要です。

主な着眼点は次の5つです。
1.事業の独創性
2.事業の実現可能性
3.事業の収益性
4.事業の継続性
5.資金調達の見込み

この中で「5.資金調達の見込み」については、金融機関に事業計画書を見てもらい、認定あるいは資金調達に関する覚書をもらう必要があります。
この点が今回の補助金の特色ともいえます。

採択率が高いというのには実は訳があります。申請するには金融機関の準審査ともいうべきものを受けてパスする必要があるわけです。これを1次審査と考えれば、採択率の高さも多少うなずけます。

そのためには、1〜4について、事業計画の中で裏付けデータ等も活用しながらしっかり伝えつつ、それが経済活性化や社会に貢献できるということも合わせて伝えることが重要です。この時、ポイントは自己満足ではダメということです。いくらいい新事業でも、その良さが相手に伝わらなくては意味がありません。

金融機関担当者にも審査員にも伝わるようにわかりやすく記載し、理解を得ることが必要です。もし自分で書くのが難しければ専門家の支援を受けることも一考です。当方で申請書作成サポートも行っていますので、ご相談下さい。

3.新しい資金調達の形「クラウドファンディング」

(1)クラウドファンディングとは

最近、クラウドファンディングという言葉をよく耳にするようになりました。「クラウドファンディング(※)」は、インターネットを介して不特定多数の個人から資金(支援金)を集めるサービスで、新しい資金調達の手段として注目されています。
クラウドファンディングは社会活動、アーティストの支援、映画 、ソフトウェアの開発、発明品の開発プロジェクトなど、幅広い分野への出資に活用されています。

※クラウドファンディング(crowd funding)は群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語。

クラウドファンディングのサービスが日本で本格化したのは2011年頃からですが、それ以前から似たようなものとして、寄付金サイトや、注文が一定数以上集まれば商品化するというようなサイトは存在しています。

これらとクラウドファンディングが異なる点は、なんといってもクラウドファンディングは寄付でも注文でもなく、出資であるという点です。ただし、出資といっても、その見返りに商品等をもらうという「購入型」のものが多くなっています。

(2)クラウドファンディングの主な事業者

次表は、国内でクラウドファンディング・サービスを提供する主要事業者3社を比較したものです。3社とも2011年の比較的近い時期にサイトをオープンさせていますが、サイトごとのターゲット層やコンセプトは多少異なり、それぞれのカラーを出しています。したがって、資金提供を募る事業者は、自社の商品・サービスにマッチしたサイトを選定することがポイントといえます。




(3)クラウドファンディングのメリット・デメリット

クラウドファンディングは、不特定多数の個人から小口資金を集め、その見返りとして、主には商品やサービス利用券等を配布します。出資者とは双方向のやり取りが可能ですので、新商品の製造前に市場ニーズや顧客の声等を集め、それを商品開発に生かすことも可能というメリットもあります。

このような仕組みのため、比較的短期間で開発でき、ユーザー層も比較的広めの個人向けの商品の方が出資者を集めやすいといえます。
前記の主要サイトを見ても、公表している2つのサイトでさえ、出資者は3万人程度しか登録していないため、現状では、利用者が限定されるニッチな商品の場合は、十分な出資を集めるのはそう簡単なことではないと推定されます。

資金調達手段としては、今後の動向次第といえそうです。

また、クラウドファンディングのデメリットとしては、アイデアが重要で比較的模倣されやすい商品・サービスの場合は、ネットで情報を公開することのリスクが相対的に高いということがあります。

4.最後に

資金調達の方法も外部環境の変化等によって日々変化しています。新事業を実現・成功させるためには、常に情報収集のアンテナを張って、自社に最適な方法を適切なタイミングで活用できるようにすることが重要です。

今年は新事業推進に対する追い風がいろいろな形で吹いています。
このチャンスを生かして、ぜひ新事業を成功させ、経済活性化に貢献して下さい!

中小企業診断士 吉倉 英代

メールはcsjjm344@ybb.ne.jpまで願います。


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