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2013年 9月 「定期建物賃貸借契約について」
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中小企業診断士:大塚 照
メールはakotsuka@t06.itscom.netまで願います。
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飲食店経営者が5号店を新規開店する際、融資について経営相談を受けました。その時「定期建物賃貸借契約書」を見てほしいとの依頼があり、これが定期建物賃貸借契約に興味を持ったきっかけとなっています。
店舗を必要とする商売で成功するか否かの大きなウエイトを占めているのが立地条件です。
金融機関や大手不動産会社が、都心にある立地条件の良い複合商業施設を所有しているケースが多くみられます。この様な施設にテナントとして入居する際には「定期建物賃貸借契約(定期借家契約)」を交わすのが一般的です。
定期建物賃貸借制度は借地借家法の一部改正によって、2000年3月1日に施行されました。この制度の概要は次のとおりです。
●定期建物賃貸借とは
従来型の賃貸借契約は、「正当事由」がある場合でなければ、賃貸人(貸主)から契約の更新拒絶や解約の申し入れができないこととされてきました。
これに対し、契約で定めた期間が満了することにより、更新されることなく、確定的に賃貸借が終了する建物賃貸借のことを定期建物賃貸借といいます。
●定期建物賃貸借契約の締結
定期建物賃貸借は、内容的な要件としては期間を確定的に定めることが第一に必要です。この制度では1年未満の契約も可能です。
また形式上の要件として「公正証書等書面によって契約する」ときに限って、定めることができるものとされています。
この場合貸主は借主に対して、契約の更新はなく、期間の満了とともに契約が終了することをあらかじめ書面を交付して説明しなければなりません。
貸主がこの説明を怠った時は、その契約は定期借家としての効力は否定され、従来型の契約の更新ある借家契約となります。
●定期建物賃貸借契約の終了
定期建物賃貸借契約においては、契約期間が1年以上の場合は、貸主は期間満了の1年前から6ヵ月前までの間(「通知期間」といわれています)に、借主に契約が終了することを通知する必要があります。
なお、期間満了前に、引き続きその建物を使用することについて当事者双方が合意すれば、再契約したうえで、引き続きその建物を使用することは可能です。
定期建物賃貸借契約と従来型の借家契約を比較すると
期間を1年未満とする建物賃貸借契約の効力 1年未満の契約も可能 期間の定めのない賃貸借とみなされる
建物賃借料の増減に関する特約の効力 賃借料の増減は特約の定めに従う 特約にかかわらず、当事者は、賃借料の増減を請求できる
それでは複合商業施設入店の際の個別契約書(一部抜粋)を見てみましょう。
●定期建物賃貸借契約書
(1)定期
5年から7年の定期賃貸借が多いようですが、早い資金回収が望める業態でないとテナ
ントとして入店するのは難しいです。契約は更新せず、規定する期間の満了によって終
了しますとの条項があります。
(2)統一的営業方針の尊重
貸主が統一的に運営管理する施設なので、施設内の他の出店者と協調し、施設全体の発
展を図るようにします。このため借主に出店場所の位置、面積等の変更を求めることが
できます。
(3)賃料
1)最低保証賃料 uあたり〇〇円。
2)売上歩合賃料 月額売上高が〇〇円を超えた額に対して〇〇%を乗じた額。
(4)報告義務
借主は売上金と預り金(消費税、配送料、箱代等)を合計した売上総額を貸主に報告し
ます。借主は貸主から請求があった場合は、貸借対照表、損益計算書などの財務内容お
よび経営内容を明らかにする書類を提出しなければなりません。
(5)賃貸借契約の解除
1)借主か使用人が施設内で暴行、脅迫、暴言、騒乱など秩序風紀を乱す行為を行った
場合です。
2)借主の業績が不振であり、契約の継続が困難であると貸主が判断した時です。
(6)債務延滞損害金
借主が賃料その他債務の支払いを延滞した時は、貸主は延滞金額に対して日歩5銭(年
18.25%)の割合による損害金を借主に請求できます。
(7)設備工事
建物構造上影響のある工事や電気、給排水、空調設備工事については、大手不動産会社
等の関連子会社を使うよう指定されるケースもあり、この場合、見積書の価格を値切る
ことが難しくなります。
立地が優れた場所にある複合商業施設にテナントとして入れば、多くの客が来店し、売上高があがる可能性もあります。一方、前述のように賃借人にとって相当厳しい条件があるほか、かなりの敷金を差し入れなければなりません。
定期賃貸借契約を締結する前に、費用対効果の十分な検討が必要となります。
中小企業診断士:大塚 照
メールはakotsuka@t06.itscom.netまで願います。
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