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2013年7月 「色を上手に使う」
中小企業診断士:前田 雅代
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この世がモノクロームの世界だったら、なんと味気ないことでしょう。少し古い「夢占い」の本を見ると「疲れている時はカラーの夢を見る」とあります。カラーでないとなればモノクロの夢ということになりますが、テレビも(!)、写真も(!)カラーが通常の時代にあって、モノクロの夢もないでしょう。疲れていようがいまいが、眠っている間に見る夢もカラーの世界に決まっている(だろう。多分)。
1.赤い色の効果
赤い下着が体に良いという話があります。
テレビの健康番組や健康志向の雑誌などで取り上げられていましたから、単なるおまじないというわけでもなさそうです。実際、東京・巣鴨、おばあちゃんの原宿と呼ばれる「とげ抜き地蔵商店街」の店頭に陳列されているのを目にしました。
米国・カリフォルニア大学のロバート・ジェラード氏は、色がもたらす人体の影響を調べました。この実験の結果、赤い光を当てると血圧が上昇し、呼吸数、心拍数、脈拍数、またたきの回数が増えることが分かりました。反対に、青い光を当てると血圧、呼吸数、心拍数、脈拍数、またたきの回数が減少したのです。
彼はこの現象のモトになるものが、筋肉の緊張の変化にあると結論づけ、当てる光の色によりヒトの筋肉は緊張したり弛緩したりすると解釈したのです。
この後、他の色についても調査をして、「光に対する筋肉緊張度」を意味する数字を「ライト・トーナス値」として数字に表しました。
ライト・トーナス値のもっとも大きな値は赤(42)で「興奮」。次いで橙(35)、黄(30)が続き、心が元気になる、闘士が湧いてくる、血圧が上がるという色の効果が見られ、やがて「緊張」状態の緑(28)、「弛緩」状態の青(24)へと続き、もっとも小さな値のベージュ(23)は、心がゆったりとする、リラックスするという効果がみられます。
*カッコ内の数字はライトトーナス値
さて、さきほどの「赤い下着」ですが、「ウチの高血圧のおばあちゃんが赤い色を見て、さらに血圧が高くなったら大変だ!」と思われた方もいるかと思いますが、いやいや。この赤い下着は、皮膚温度に作用すると考えられます。人間の体の中で一番体温が低いのはオシリなのですね。赤い布を使った下着は、赤い光を透過させるために、皮膚の温度が上昇します。赤い下着は、おばあちゃんの原宿に集まるお年寄りが元気に生活できるための大切なアイテムとも言えましょう。
2.色の組み合わせのおいしい関係
いかにも美味しそうなトマトパスタ。
実は、このお料理にはイタズラが仕掛けられていて、あり得ない味のパスタに仕上がっているのです。これをグルメ番組のレポーターとして出演を依頼されたと思い込んでいる若手芸人が、ほおばってコメントを求められています。
視聴者は仕込みのところから見ているので、その反応がおかしくて笑ってしまいます。
イタズラを仕掛けられた芸人は、妙な味のパスタを口いっぱいに頬張りながら、目を泳がせています。そして妙に「美味しい!」とほめることほめること。嘘をつけ!
お料理は、まず見た目の美味しさ、視覚からの情報が第一です。
トマトソースのパスタの上に、パセリやバジルの葉っぱを載せると、トマトの赤とパセリ、バジルの濃いグリーンがそれぞれ鮮やかな色として目に映えて、色に奥行が生まれ、味にも奥行があるように感じられ、「美味しそう!」と食欲が増すのです。
赤と緑は、色では「補色」の関係にあります。補色とは、黄〜緑〜青〜紫〜赤〜橙の色を輪の形にした「色相環(しきそうかん)」で、向かい合った色どうしのことをいいます。
真っ赤な円を見続けて瞬間的に白い紙へ視線を向けた時に、緑色っぽい残像が見えると思いますが、この色が補色なのです。同じ色を見続けていると、その刺激を和らげようとして網膜に反対の色が浮かび上がります。生理的防御本能のひとつであり、これが補色の定義です。
また、反対色の組み合わせだけではなく、同系色の組み合わせでも食欲をそそる例があります。とんかつの薄い茶色とキャベツの淡いグリーンの組み合わせ。この上に、とんかつソースの濃い茶色、そして辛子の黄色。この辛子のワンポイントが全体を引き締め、同系色の茶色のソースやとんかつをおいしく見せる役割を果たしているのです。
補色の関係にするか、または同系色でまとめるか。
実際のお料理の盛り付けも関係しますが、商品開発やパッケージのデザイン、メニュー表、チラシを考える際にも是非イメージしてみてください。
以上
中小企業診断士、シニア商業施設士、東商カラーコーディネーター 前田雅代
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