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2013年 6月 「ドリンクから読み解く料飲店経営」
■――――――――――――――――――――――― NPOみなと経営支援協会−■
料飲店の売上を構成する主な商材として、フードとドリンクが挙げられます。また、主な費用として、原材料費(フード、ドリンク)、人件費、家賃が挙げられます。適正な利益を確保するためには、これらをうまくコントロールする必要がありますが、ドリンクに無頓着な料飲店が多くなってきました。
当コラムでは、ドリンクに焦点を当てながら料飲店経営の改善策を考えてみたいと思います。
1.ドリンクの長期低落傾向
若年層の飲酒離れ、高齢化にともなう飲酒量の減少、飲酒運転に対する罰則の強化、健康志向の高まりなどにより、料飲店におけるドリンクの売上構成比が低下してきています。
一般的な居酒屋を例にすると、1990年代前半までは、フード4:ドリンク6程度の売上構成比であったのが、現在では完全に逆転しています。
それは、料飲店への利用動機が変化してきていることにも起因しています。飲んで酔う場から、食事をしながら、あるいはスイーツを食べながら友人などとコミュニケーションを図る場に変化してきているのです。
料飲店がドリンクに力を入れず、フードにばかり傾注するのも頷ける状況なのです。
2.唯一無二のオリジナリルドリンク
しかしながら、どんなに構成比が低下したといっても、3割〜4割のボリュームがある商材には変わりなく、ドリンクを放置するのは得策ではありません。
また、フードの脇役としてバーゲンメニューになっているのも健全ではない姿です。
そこで解決策のひとつとして、「その店でしか飲めない独自性の高いドリンク」の創作を提案します。
手に入りづらい希少商品を品揃えするのではなく、オリジナリティー溢れるドリンクを自ら生み出していくのです。
煮る、焼く、揚げる、綺麗に盛り付ける、彩りを添える、香りづけする、など五感に訴えながら様々な手法で差別化を図っているフードメニューを真似するのが早道でしょう。
3.業態との整合性
ただし、オリジナルドリンクを創作する際に忘れてはいけない大切なことがあります。
それは、業態と整合性がとれているかという点です。
例えば、いくらマッコリが流行っているからといって、中華料理店でマッコリカクテルをオリジナルドリンクとして打ち出しても、業態とはミスマッチを起こしています。そのようなことをすれば、「あの店はいったい何屋なのか」ということになり、お客様への情報発信が不明確なものになってしまうのです。
4.ショルダーネームで魅力を伝える
業態を、短い言葉で効果的に表現しているのがショルダーネームです。
店舗の特徴や魅力、売りを明快にし、利用シーンが具体的に想像できることが大切です。
例えば、「○○屋」という店名の前に付いている「中華料理」がそれにあたります。
「関西風一口餃子と餡かけチャーハンの店」も同じです。具体的にイメージしやすいとお客様にも伝わりやすくなります。
最近では、ショルダーネームを利用して一押しのドリンクを打ち出しているケースが見られようになってきました。
「フライドチキンとレモンサワーの店」「名物パエリアとサングリア酒場」「焼鳥&クラフトビール」「こだわりギネスリアルハーフと手作りフッシュ&チップス」「マッコリカクテルバル」「甲州ワインと板前割烹」などです。
自店の業態を、一押しのドリンク名とフード名の入ったショルダーネームによってしっかりと表現しています。これなら、お客様にも伝わりやすいですね。
5.おわりに
業態とショルダーネームの不一致が原因で、「何屋」なのかがわからない料飲店が多く見受けられます。
この機会に、ドリンクを切り口としたプチ改善にチャレンジしてみてはいかがですか。
フードよりもドリンクのほうが簡単で取り組みやすいというのもお勧めのポイントです。
以上
フード&ビバレッジビジネス研究所
料飲・酒販コンサルタント(中小企業診断士)松原憲之
メールは noriyuki.kyoudou@sirius.ocn.ne.jp まで願います。
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