特定非営利法人東京都港区中小企業経営支援協会NPOみなと経営支援


●2012年12月「中小企業の成長促進へ向けたVCの活用

●2012年12月「中小企業の成長促進へ向けたVCの活用

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2012年12月 「中小企業の成長促進へ向けたベンチャーキャピタル(VC)の活用」

中小企業診断士 篠部 悠

メールはoskingos25@yahoo.co.jpまで願います。

 
■――――――――――――――――――――――― NPOみなと経営支援協会−■

急速な成長を志向する中小ベンチャー企業には、これからの厳しい融資環境を考えると、VCからの投資を得られることが、今後の成長を支える重要な要素になります。

VCは、原則として成長性の高い未上場企業に対し、主にエクイティ(株式、及び株式への転換権のついた社債等)での投資を行うとともに、さまざまな経営支援を行い企業の成長を促進し、株式市場への上場(IPO)、もしくはM&A等により株式を売却して資金を回収する投資会社です。

VC活動が活発な米国に限らず日本においても、中小規模であった創業期から、短期間に急成長を遂げたベンチャー企業が、VCからの出資を受けIPOの実現によって、さらなる多額の成長資金の調達をしています。

米国においては、VCへの法整備は1940年の投資会社法制定まで遡り、その後もベンチャー企業の成長へ向けて貢献の歴史が続いています。現在では世界を代表する大企業となったマイクロソフト、インテル、アップル、シスコシステムズ、サンマイクロシステムズ、ジェネンテック、アムジェンなど、かつての中小ベンチャー企業は、VCの投資先でした。

東南アジアでは、日本企業の進出が多いタイを例にとると、最初の動きとしては1987年に複数の銀行が集まってVCを運営しています。1994年にVC協会が設立されていますが、現在会員は十数名程度です。当地ではVCは企業のアーリーステージに投資するより、ミドル―ステージ以降に投資する傾向があります。

タイ国内のVCはそれほど多くありませんが、シンガポールにVCの拠点を構え、東南アジアの国々を対象に広く活動している企業があります。日本のVCも進出して活動をしています。

日本のVCへの対応は1963年の中小企業投資育成会社法制定にみられます。VC協会が設立されたのは2002年とかなり最近です。VCは銀行系、証券会社系、保険会社系、事業会社系、独立系、公的機関など様々です。

新興企業向け3市場であるジャスダック、マザーズ、ヘラクレスに新規公開した企業のうち約80%がVCの投資先企業と言われています。
東京中小企業投資育成鰍フケースでは、設立以来上場企業を多数育成していますが、さらに、成長過程にある企業や安定成長の企業でも新事業展開・事業再編・承継等ニーズのある場合には出資をしています。長期投資をメインとしておりIPOに限らず配当金による継続投資も可能としています。

公的資金を活用した形態としては、中小機構(中小企業基盤整備機構)のファンドがあげられます。1998年に中小企業投資事業有限責任組合法が施行され、中小機構は1999年に第一号ファンドを組成しています。2004年には投資事業有限責任組合法に改正され、上場会社への出資、金銭債権の取得、融資等もできるようになりました。

中小機構はIPOを目指すベンチャー企業に限らず新事業展開や事業再生を実施しようとする中小企業等に対して投資する民間のファンドに資金供給をしています。

目的としては、@中小/ベンチャー企業の創業・新事業展開・再生等の促進、A未公開企業向けエクイティ投資市場の活性化、B民間ファンドへの出資を通じてこれらの実現を目指しています。ただし、企業への直接投資は行っていません。

具体的には、3カテゴリーで展開しています。
1)起業支援ファンドは設立5年未満の創業または、成長初期の段階にあるベンチャー企業を資金面及び経営面から支援します。

2)中小企業成長支援ファンドは新事業展開、転業、事業の再編、承継等により新たな成長・発展を目指す中小企業を支援します。

3)中小企業再生ファンドは過剰債務等により経営状況が悪化しているものの、本業には相応の収益力があり、財務リストラや事業再構築により、再生可能な中小企業を支援します。

中小機構での事業が始まって14年目となり、ファンドへの資金供給を通じて、ベンチャー企業へのリスクマネーの供給、投資ファンド制度の普及、投資環境の整備等に貢献してきています。

2011年12月末現在で組成されたファンドの数は155本に達しています。日本においてもリーマンショック以降、ベンチャーファンドの資金調達環境は非常に厳しくなっており、中小機構のファンド資金が大きな役割を担っています。

中小機構が出資し2011年度IPOした企業は、医薬品開発、臨床試験医薬機関に対する支援、画像処理技術の開発、ソーシアル事業他クラウド&ライセンス、グラフィックスプロセッサの開発・販売等など様々です。

中小機構のホームページから、全国どこからでも投資先企業のアクセスができる検索システムがあります。会員登録をしてトライしてみてください。
http://www.smrj.go.jp/fund/index.html
以上。

中小企業診断士 篠部 悠

メールはoskingos25@yahoo.co.jpまで願います。


■―――――――――――――――――-―― NPOみなと経営支援協会−201212―■

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