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2012年11月 「海外進出と税制について」
中小企業診断士 西田 純
メールはJun.Nishid@gmail.comまで願います。
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海外展開を考える中小企業にとって、税制は重要な関心事項です。
平成21年度税制改革で導入された「海外子会社配当金等益金不算入制度」は、海外子会社からの受取配当金のうち、95%を益金としない(課税対象としない)という画期的なものであったことから、当初は中小企業の海外展開を一層加速することが期待されましたが、必ずしも国内に追加的な資金需要が発生していないことから、期待されたほどの活用はなされていないのが現実なようです。
実際は、売上金額が数億円程度の中小企業でも、海外展開を進める企業が資金管理のための現地法人をシンガポール等に設立し、東南アジア域内の子会社で得た利益を効率的に運用しようとする例が増えている(在バンコクの日本人税理士談)ということですが、海外での事業展開が複合化するにつれて企業の税務対策も複雑化していることが伺えます。
平成24年度税制改革で導入されることが決定している「過大支払利子税制」は、キャッシュフローに利払い金額を加えた「調整所得金額」の50%を超える純支払利子について、日本国内での損金算入を認めないというもので、海外で稼いだお金について「利子」の形による過大な資金還流に歯止めをかけようとするものです(平成25年4月より適用)。
逆に言えば、この範囲であればコンプライアンスを順守した形で効率的なタックスプランニングが可能になるという数値的な指標が示されたという理解が成り立つと言えます。
日本の親会社等に対する支払利子の取り扱いについては、進出国によって税制が異なるものの、子会社から見れば基本的には経費です。従い、一旦それが支払利子と認められれば、配当金と違って当該国で課税対象となることはありません。ですから同じ日本への送金でも、更なる節税が可能となる「畑」であるということが言えます。
企業にとって海外展開を考える場合の急所が、当該国における「許認可」と、日本側を含めた「税制」に関する情報であることは今も昔も変わりません。
成長著しいアジア市場では、これらの情報が時々刻々と変化します。
これに対応するため、日本側の税制改革も比較的頻繁に行われています。
現状では、国内の税理士が必ずしも国際税務に関する情報に詳しいという訳ではないので、各種公的機関から積極的に情報を取りいれることが肝要であると言えます。
中小企業診断士 西田 純
メールはJun.Nishid@gmail.comまで願います。
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