■経営お役立ち情報 ビジネスヒント情報―――――――――――――――――――■
2012年11月 「農商工連携にチャレンジしてみませんか」
中小企業診断士:栗田 剛志
メールはt-kurita@consulting.bizまで願います。
■―――――――――――――――――――――― NPOみなと経営支援協会−■
「農商工連携」をご存じでしょうか。
農商工連携とは、その文字通り農林漁業と商工業者が連携を組んで、新しい事業を行おうというものです。
広義では、農林漁業者と商工業者が連携し、そのつながりが固い、ゆるいに関係なく手を組んで事業に取り組むことを意味しますが、本コラムでは、農商工等連携促進法という法律に基づいて国から事業計画の認定を受けると、事業化の達成に向けて様々なサポートを受けることができるという制度を指し示す言葉として使わせていただきます。
同じようなコンセプトに「6次産業化」というものがあります。
これは、農林漁業を意味する一次産業、モノづくりを行う二次産業、小売りやサービスを提供する三次産業の数字「1・2・3」を足す、もしくは掛け合わせて「6」になるところから生まれた言葉です。
農林漁業者が生産、加工、流通(販売)を一体化し、所得を増大すること、もしくは、農林漁業者が2次・3次産業と連携して地域ビジネスの展開や新たな産業の創出を目指すことです。
両者は、切っても切れない関係にあるのですが、大きな違いは、農商工連携は経済産業省が、6次産業化は農林水産省が管轄しています。
法律に基づく認定としての農商工連携は、農林漁業者と商工業者等が通常の商取引関係を超えて協力し、お互いの強みを活かして売れる新商品・サービスの開発、生産等を行い、需要の開拓を行うことを言います。
すなわち、これまで農林漁業者だけ、商工業等を営む中小企業者だけでは開発・生産することが難しかった商品・サービスを両者が協力し合うことで創り出し、市場で販売していくことで、売上や利益の増加を目指そうという取り組みとなります。
創り出す商品・サービスは、
@規格外や低未利用品の有効活用
A生産履歴の明確化や減農薬栽培等による付加価値向上
B新たな作目や品種の特徴を活かした需要拡大
C新規用途開拓による地域農林水産物の需要拡大、ブランド向上
DITなどの新技術を活用した生産や販売の実現
という5つに分類されます。
例えば、「@規格外や低未利用品の有効活用」の事例として、ビールの原料になる二条大麦の規格外となる麦を利用して味噌を作り販売する事例や、ほとんどが廃棄されるウナギの骨や頭に含まれる有効成分を利用して商品開発を行う事例などがあります。
具体的な事例は、下記のサイトをご参照ください。
http://j-net21.smrj.go.jp/expand/noshoko/
それでは、農商工連携の認定を受けるとどのようなメリットがあるのでしょうか。
主なメリットとしては、以下の3つを挙げることができます。
@新規事業の具体的な計画を立案することができる
A事業化に向けて公的な支援機関が併走して支援してくれる
B試作品の開発や販促面での補助金、低利の融資や税制上の優遇といった経済的なメリッ
トを受けることができる
それ以外にも副次的なメリットとして、
@事業計画が整理されること
A商品のブランド力アップ
B企業としての注目度アップ
C社内モチベーションアップ
D人脈ができる
といった5つを挙げることができます。
日頃、私が農業の現場を回って感じることは、「廃棄しているものや無駄なものがたくさんあるものの、これまで当たり前のようにやってきているのでそれを疑問に思うことがなかった」、あるいは、「何かしたいと思うがどうすればいいかわからない」、という事業者さんがたくさんいるということです。
また、単独では越え難いハードルも、連携を組むことでその実現可能性がぐっと高まるケースをいくつも目にしてきました。
そこに農商工連携の良さがあります。
様々な問題を抱える一次産業の現場でも、若い意欲のある農林漁業者さんがたくさんいます。
「食」に関する事業には、まだまだチャンスがたくさんあります。
みなさんも農商工連携で新しい事業を目指してみませんか。
中小企業診断士:栗田 剛志
メールはt-kurita@consulting.bizまで願います。
■―――――――――――――――――-―― NPOみなと経営支援協会−201211―■