■経営お役立ち情報 ビジネスヒント情報―――――――――――――――――――■
2012年9月「企業における"女性力"活用の効果」
中小企業診断士・1級販売士
技術士(総合技術監理部門・経営工学部門)
田中 美佳
メールはmika-tanaka@d1.dion.ne.jpまで願います。
■―――――――――――――――――――――― NPOみなと経営支援協会−■
●企業における"女性力"活用と「ダイバーシティ」
企業における"女性力"活用という言葉からは、「女性チームによる女性のための商品企画」のような取り組みを連想する方がまだまだ多いのではないでしょうか。
確かに、一時期、そのような取り組みがもてはやされたこともありました。
しかし、現在では、さらに一歩進んだ概念として、「ダイバーシティ」という考え方を経営に活かす動きが進んでいます。
●企業における「ダイバーシティ」
「ダイバーシティ」という言葉を耳にしたことがある方も増えていることと思います。
「ダイバーシティ」は、「多様性」と訳されることが多いですが、この「多様性」という言葉は、性別、年齢のような外形的なものだけでなく、宗教や価値観などの内面的なものも包含する、非常に幅広い概念を指し示すものです。
企業において「ダイバーシティ」を実現するということには、大きく2つの意味があります。
1つは、世の中の多様な価値観を受け入れ、それらのニーズに合わせた価値を提供することによって事業を継続・発展させていくこと。
そしてもう1つは、多様なバックグラウンドを持つ人材を活用することで、世の中の変化に適切に対応できるだけの事業の柔軟性を構築していくことです。
企業にとって「ダイバーシティ」への対応は、グローバル化の進展などに代表される急激な社会の変化に柔軟に対応しつつ事業を継続・発展させていくために、必須のこととなりつつあります。
日本では、"女性力"活用を「ダイバーシティ」実現に向けた第一歩として取り組む企業が増えています。
●"女性力"活用に向けた取り組み
企業が"女性力"の活用、すなわち、女性を戦力とすることを望んでも、女性側がすぐ辞めてしまうという悩みを抱えている経営者の方も多いのではないでしょうか。
では、女性を戦力として長く働いてもらうためには、具体的に、どのような取り組みを行えばよいのでしょうか。
女性が会社を辞めるタイミングには、大きく、結婚、出産、育児があります。これらの人生の山場となる時期に、仕事と家庭とを両立可能な取り組みができるかどうかが、退職防止のために重要なこととなります。
このためには、まず、勤務条件の柔軟性を高めることが挙げられます。勤務条件には時間や場所などがあります。
例えば、時間の柔軟性を高めるための施策としては、年休の時間単位での取得、フレックス勤務、短時間勤務などが挙げられます。また、場所の柔軟性を高めるための施策としては、在宅勤務やサテライトオフィスでの勤務などが挙げられます。
次に、業務を「見える化」して状況を共有しておくことが挙げられます。
こうすることで、家庭で緊急の問題が起こり業務を誰かに引き継がなければならない場合にも、業務をスムーズに進めることができます。この取り組みによって、会社を抜けることに対する本人の罪悪感を軽減することができます。
これらの取り組みを実際に推進する際には、どのような観点で評価を行うのかをきちんと明示しておくことで、不公平感を防止することがポイントとなります。
●女性が働きやすい職場は他の社員にとっても働きやすい職場
ワークライフバランスという言葉が一時期もてはやされました。また、昨夏からの節電も相まって、企業における働き方への意識が大きく変わりつつあると感じています。
昨今、注目されているのは、介護と仕事との両立です。育児と大きく異なり、介護はある日突然降りかかってきます。また、先の予定が見えません。
現在、事業の中核をなす男性の管理職が、介護と仕事とを時間的に両立できずにやむを得ず離職する例が増えつつあります。多くの場合、その結果、収入が激減し、介護のサポートを外部に十分に頼めず一身に負って疲弊していくという、負のスパイラルに結び付いています。
一方、企業側も、中核の社員が突然休職、退職することで、大きな痛手をこうむることとなります。
女性にとって働きやすい環境は、介護を抱えた男性にとっても働きやすい環境となります。"女性力"活用に向けた取り組みを進めていくことは、他の社員にとっても働きやすい環境を実現し、企業のリスク管理にもつながる取り組みとなるのです。
日本の企業では、従来、会社という定められた場所で時間をかけることが頑張っていること、として美徳とされてきました。この考え方では、限られた時間で工夫して効率的に業務を進める人の評価が上がらず、やりがいも感じられません。
今後は、時間効率を加味した成果を評価することが、幅広い人材から魅力的に感じられる企業の条件となることに留意する必要があるのではないでしょうか。
経営を行う上で、客観的なアドバイスがあればと思ったことはないでしょうか?
経営のプロである中小企業診断士は、経営者のよきアドバイザーです。何かお悩みのことがあれば、いつでもご相談ください。
中小企業診断士・1級販売士
技術士(総合技術監理部門・経営工学部門)
田中 美佳
メールはmika-tanaka@d1.dion.ne.jpまで願います。
■―――――――――――――――――-―― NPOみなと経営支援協会−201209―■