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2012年7月 「たまにはこんな本はいかがですか 〜楽しい会社って、ありですか?〜」
中小企業診断士 奥野直哉
メールはokuno.naoya@nifty.comまで願います。
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「会社は、ヒトに依るか?」と言う問いがあります。
もう少し詳しく言うならば、
「会社は、ヒトの働き具合によって変わるか?」となるでしょうか。
いろいろな意見があると思いますが、私は、やはり、会社は、人に依ると考えています。
大部分の経営者の方々も、そう思われているのではないでしょうか。
会社は、ヒトが集まった組織であり、機械が運営する組織ではありません。
ですから、当然、ヒト(社員)の働く意識、姿勢の違いで、業績が変わって来ます。
「当社には、人材がいない」と言われる経営者の方がいらっしゃいますが、ヒト(社員)は、自然発生的に育って来ません。
どのような意識、姿勢で働いてもらいたいか、どのような人材のいる会社にしたいのか、
これら「ありたい姿」、「あって欲しい姿」を明確にして、方向づけていくのは、やはり、経営者の役割です。
「ありたい姿」、「あって欲しい姿」については、経営者一人ひとり、考え方が違うと思いますが、例えば、このような姿は、ありでしょうか。
その姿とは、「ヒト(社員)が楽しく働いている姿」です。
「楽しく働く」「楽しい」のキーワードを1つ、会社運営、経営に加えてみてはいかがでしょうか。
同じ働くなら、楽しく働ける方が良いでしょう。
自分の会社の社員が、「当社で働けることは楽しい」と思っている、そんな会社はすばらしいと思いませんか。
ここまで読まれて、「楽しい? 何を甘いこと言ってるんだ」、「ウチでは、目標達成のためには、厳しくしないとダメなんだ、仕事には厳しさが必要なんだ」と思われた経営者の方もいらっしゃるでしょう。
もちろん、甘やかせとは言っていません。「甘い会社」と「楽しい会社」は違います。
仕事は厳しいのが当たり前。苦しいことが多いものです。
しかし、「苦しい」と「楽しくない」は、別です。
苦しいけれど、楽しい。
厳しいけれど、楽しい。
一般的によく言われていて、私もそうだと考えていますが、次のような言葉があります。
「顧客満足のためには、社員満足がなければならない」。
顧客の満足がなければ、事業は成り立ちません。顧客に満足してもらうためには、接点である社員が納得していなければなりません。
これと近いですが、やはり、「当社で働くことが楽しい」と心底から思っている社員は、お客さまに対して前向きに、良いパフォーマンスを行います。
「楽しくない」と思いながら働いてもらっても、良い結果につながりません。
どんな仕事も、やり方しだい、考え方しだいで、意識を変えることができます。
楽しく仕事をすることができます。
もちろん、楽しく働けるかどうかは、社員個々人の自覚によって変わります。
しかし、会社は組織です。組織全体の意識を変えていく、それは、やはり、経営者のリーダーシップによります。
「当社で働けることが楽しい」に関して、今回、一冊、本を紹介します。
その本とは、山本幸久著 「カイシャデイズ」(文春文庫)です。
忙しい経営者の方々は、本など読んでいる暇がないかもしれません。ましてや、ビジネス書ではなく、これは小説です。娯楽小説です。しかも、今売れ筋である“中小企業のガンバリを描いたもの”でもなく、“理想とするリーダーの姿を書いたもの”でもありません。
ただ、ヒト(社員)の働く姿を描いただけの小説です。
しかし、「当社の社員が、楽しく働いていくにはどうしたら良いのか」について、改めて考える糸口になると思います。
本書の帯には、本文からの引用で、次のように書かれています。
「仕事、楽しそうじゃないですか」
「楽しいわけないだろ」
「そうなんですか? ならどうして仕事しているんですか?」
「知りたいか?」
「ええ」
「だったら明日、会社へこい。そして外回りするおれについて歩いて、その目で見てたしかめろ」
くどいですが、この本は、あくまで娯楽小説です。もちろん、読み手によって感想は違う
でしょう。
「楽しく働くとはどう言うことかについて、何も書かれていないじゃないか」と思う人もいるでしょう。「なんだ、軽いなあ」と思われる方もいるでしょう。少なくとも、私は、「楽しく働く」こと、会社組織のありようについて考えるところがありました。
経営者は忙しい。でも、たまには、こんな「小説」はいかがですか?
中小企業診断士 奥野直哉
メールはokuno.naoya@nifty.comまで願います。
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