特定非営利法人東京都港区中小企業経営支援協会NPOみなと経営支援


●2012年2月「絆を深めるインターネットの活用方法」

●2012年2月「絆を深めるインターネットの活用方法」

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2012年2月「絆を深めるインターネットの活用方法」

中小企業診断士 大江 隆夫

メールはooe@yahoo.co.jpまで願います。


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東日本大震災以降、日本ではお互いの結びつきを確認する「絆」が注目されています。
大震災による未曽有の危機を乗り越えるために、共同体や自分の立場をより強く認識するようになりました。日本漢字能力検定協会も、2011年を表す漢字は「絆」であると発表しています。
今後の企業活動を考える上でも、消費者がその企業に対してどのくらい自分と結びつきを感じているか、ということが影響を与えることは間違いありません。

今までも、マスマーケティングから個別の消費者の需要に合わせたマーケティングへの脱却が叫ばれてきました。
マスマーケティングとは、少ない種類の商品を大量生産することでコストダウンと流通の効率化を図った上で、市場全体に向けて単一的な広告を大量に発信する戦略です。そして、日本の市場が成熟化し、モノが大量に溢れるにつれて、個別の消費者の需要に合わせた本当に欲しい商品の提供やマーケティング手法が課題となってきました。

しかし消費者が「絆」を重視するならば、もはや単に個別の需要に合わせた商品を提供するだけでは十分ではありません。消費者がその企業や商品に心の結びつきを感じるかまで踏み込んで検討する必要があるでしょう。

では、どのようにすれば消費者との結びつきを強めることができるでしょうか。従来の単一的なメッセージでは対応できないことは明らかです。

消費者との絆を深めたいという要望に最適なのが、インターネットで提供されている「ソーシャルメディア」と呼ばれるツールです。マスメディアが、特定の少数から一方的に発信されているのに対して、ソーシャルメディアは、ユーザーが情報を発信し、閲覧したユーザーがそれに対して返信できる双方向の情報発信が考えられているのが特徴です。有名なものとしては、ツイッターやフェイスブック、また動画配信のユーチューブなどがあります。

ソーシャルメディアの特徴として、1)リアルタイムに発信できる、2)情報の拡散速度が速い、3)低コストで利用できる、などがあります。またITを利用しているので、顧客との親密な関係を築くのに必要な情報の記録と蓄積に優れていることも挙げられます。中小企業にとって、初期投資が少なくて済むソーシャルメディアを有効に活用することは、今後のマーケティング活動で必要不可欠になるでしょう。

大企業では、ソーシャルメディアの利用がすでに検討され、実際に動画を使ったユーチューブでのプロモーションや、ツイッターで限定プロモーションの内容をつぶやく事例が数多く見られます。

一方で、ソーシャルメディアによるマーケティング活動に否定的になる事例も多く報告されています。例えば、ソーシャルメディアでプロモーションしたところ、逆にバッシングに遭い、いわゆる「炎上」した事例は数多く聞いたことがあるでしょう。また、ソーシャルメディアはリアルタイム性を追求すると編集権を一担当者に委ねることになり、企業規模が大きくなればなるほど組織としてのコントロールが難しくなる傾向にあります。

否定的な事例を目にすると、ソーシャルメディアの利用に躊躇する中小企業もあるかもしれません。でも、単にあきらめてしまうのは勿体ない話です。なぜならば、前述した通り消費者が溢れるモノの中から選択する時に、企業にも絆を求める傾向が深まることが予想されるからです。

ソーシャルメディアを全く利用しないことが、自社と消費者の絆を深めるための戦略としてはあまり良い選択肢とは言えません。むしろ、中小企業の方がソーシャルメディアを利用するメリットを数多く備えています。

中小企業にとってソーシャルメディアを利用する大きなメリットは、低いコストで自社の商品情報の発信ができるようになったことでしょう。従来は、信頼されたマスメディアだけが情報発信ができて、そのためにかかるコストは高くつきました。ソーシャルメディアではコストは安く手軽に商品情報を発信でき、情報の信頼度は発信者の企業自身が作っていくことができます。

また、消費者との絆を深めるためには、「顔が見える」対応がソーシャルメディアでも必要になります。

大企業になると、一部門の一担当者という位置づけでないとこのような対応が難しくなりますが、組織の小さい中小企業であれば企業としての対応でも顔が見える対応が可能でしょう。これは、特に「炎上」などの問題が起きた時に素早く対応ができるという点でも組織が小さいことがメリットになると言えます。

違法な内容やマナー違反の内容を発信しないように事前に考慮することは必要ですが、それでも少なからず問題は起きてしまいます。大切なことは、問題が起きた時に素早く決断を下して対応できることです。

そして、何より中小企業はその企業規模からも個別の需要に特化した商品の供給者ですから、消費者が自分に合った情報を入手したいソーシャルメディアとは相性が良いのです。

一つの企業が全ての消費者に対応する必要はありません。今までならマスメディアを利用して発信するのも、また消費者が情報を探すのも難しかったニッチな需要も、ソーシャルメディアを利用すれば手軽に情報交換ができるようになりました。

インターネットの発展は、これまでもビジネスのあり方を大きく変えてきました。今後、中小企業が消費者との絆をどのように作っていくかを検討する上で、ソーシャルメディアを有効活用することが重要になります。

ソーシャルメディアの活用は一時の流行ではなく、今後の企業活動に必要不可欠なツールとなっていくでしょう。自社がどのようにソーシャルメディアを活用していくべきか、腰を据えて戦略を立ててください。

中小企業診断士 大江 隆夫

メールはooe@yahoo.co.jpまで願います。


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