特定非営利法人東京都港区中小企業経営支援協会NPOみなと経営支援


●2011年11月「都市鉱山を知ってますか」

●2011年11月「都市鉱山を知ってますか」

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2011年11月 「都市鉱山を知ってますか」

中小企業診断士 谷口 優

メールはytaniguc@pop16.odn.ne.jpまで願います。



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 最近、道路の上に鉄板を敷いて地下鉄や下水の工事をやっていると思ったら、地下に鉱物が埋まっているらしく、港区の地下に新しい鉱山が発見されたということです。名前はもちろん「港鉱山」です。おいおいそんな名前聞いたことがないとおっしゃる皆様へ。

今回の話はリサイクルの話しです。

都市鉱山とは、都市で廃棄物として大量に廃棄されるゴミ(家電製品等)の中に、貴重な資源(レアメタルなど)が含まれており、その資源を再生し有効活用するというもので、リサイクルの一環です。

レアメタルとは、名前のとおり希少な金属ということです。世界的に見て埋蔵量が少なく、特定の地域に偏在しています。中国や南アフリカ共和国、オーストラリア、ロシアなど数カ国に埋蔵しています。

タングステンは、中国が世界生産シェア90%、プラチナは南アフリカ共和国78%、タンタルはオーストラリア63%、クロムは南アフリカ共和国44%、コバルトはコンゴが31%、ニッケルはロシアが22%となっています。

レアメタルには、皆様がご存知のリチウム、ホウ素、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、白金、バリウムを始めとして、ベリリウム、バナジウム、ガリウム、ゲルマニウム、セレン、ルビジウム、ストロンチウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、パラジウム、インジウム、アンチモン、テルル、セシウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、ユウロピウム、タリウム、ビスマス、希土類があります。

聞いたことがない名前が並んでいますが、レアメタルは、半導体やIT機器、自動車、家庭用品から産業機械、ハイテク機器まで幅広く使用されています。身の回りの身近な製品に活用されています。

例えば、ネオジムは高性能磁石に使用され、ハイブリッド自動車や、パソコンのハードディスクに使われています。インジウムは液晶テレビや携帯電話の液晶画面の電極に使われています。プラチナは宝飾品よりも、自動車の排気ガスを浄化する触媒として使用されています。携帯電話のバイブレーターには、コバルトやジルコニウムが使用されています。液晶ガラス基板の研磨剤にはセリウムが使用されています。DVDやブルーレイディクには、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウムといった具合です。

1980年代から中国では、貴重な外貨獲得源としてレアメタル鉱山の採掘に力を注いだため、供給過剰となり、価格が急落しコスト面で採算が取れなくなり、中国以外の多くの国で生産を中止しました。しかし、中国は内需の拡大や戦略的な側面から資源保護政策を転換しました。尖閣諸島での漁船船長拿捕の報復として、通関上の手続きを表向きの理由としてわが国へのレアメタルの輸出が全面的に止まったことはご記憶にあると思います。

都市鉱山の埋蔵量に関して、独立行政法人物質・材料研究機構が2008年1月に発表した資料に依ると、わが国には、金は約6,800トンと世界の現有埋蔵量42,000トンの約16%、銀は60,000トンと22%、インジウム16%、錫11%、タンタル10%と世界埋蔵量の10%を超える金属があるということです。

天然鉱山から金属を回収する手順は、採掘→選鉱→精練ですが、都市鉱山の場合は、回収→解体→分離→再生という手順を踏むことになります。

都市鉱山からレアメタルを再生する方法は二つあります。
一つは、「希釈型」でスクラップと高品位材料を混ぜ合わして希釈することで、素材として使用できるレベルに再生する方法です。鉄、アルミ、ガラス、紙などで使用されている方法です。
もう一つは、「抽出型」で廃棄物からできるだけ高純度に抽出することで、素材として再生させる方法です。レアメタルや貴金属など、純度が必要とされる素材で使用されます。

わが国のリサイクルは基本法として環境基本法があり、その下に循環型社会形成推進基本法が制定され、個別として容器包装リサイクル法、家電リサイクル法、建設リサイクル法、食品リサイクル法、グリーン購入法、廃棄物処理法、資源有効利用促進法があります。

レアメタルの価格の上昇は、製品価格の値上げにつながります。製品価格の上昇を抑えるには、レアメタルの使用を減らすこと、今まで製造に利用していなかった加工くずなどを再利用することが大切です。

レアメタルの使用を減らすために、公共の試験研究機関が研究・開発に取り組んでいます。一度、相談してみたらいかがでしょうか。

次に、工場内の2S(整理、整頓)です。原材料・仕掛品をきちんと整理・整頓することで、無駄な仕入れをしなくて済みます。作業効率もUPします。今まで、加工の時に生じていた鉄くず、切削くずなどをうまく再利用して有効活用することも大切です。

 中小企業診断士 谷口 優

メールはytaniguc@pop16.odn.ne.jpまで願います。


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