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2010年 10月 「トップ営業の時間術」
中小企業診断士 栗田 剛志
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1.時間をどう使うか
「時間」という資源ほど平等なものはありません。どれだけおカネを持っていようとも1日24時間は変わりありませんし、どれだけ儲かっている会社でも時間を増やすことはできません。
営業成績が抜群の担当者も、常に目標を達成できずにいる担当者も与えられた時間は平等です。しかし、よく観察すると、時間の使い方そのものに大きな差があります。時間という制約条件に対峙し、限られた時間をどう使うか。トップ営業に見ることができる秘訣をみっつにまとめてみます。
ひとつ目は、「朝の時間を有効利用している」ことです。
いつも始業時間ギリギリに駆け込んでくるトップ営業はほとんど見かけません。
ふたつ目は、「細切れ時間を上手に使う」ことです。
営業職につきものの、移動時間、商談の待ち時間をトップ営業は上手に活用しています。
みっつ目は、「やることを決めている」ことです。
次に何をするべきかが明確なので、着手が早いことがトップ営業の共通の特徴です。
私の知るトップ営業のノウハウをお教えいたします。
2.朝の時間を有効利用する
営業担当者は「成果」で評価されます。この場合の「成果」とは、限られた時間の中で、どれだけの売上と利益をもたらすことができるかのことを言います。つまり、営業担当者の生産性とは、分母に時間、分子に成果で計ることができます。
では、この生産性を向上させるには、どうしたらいいでしょうか。
ひとつの答えが、「集中」です。かけた時間に対してどれだけのアウトプットが出せるかは、方法そのものが決まっているのであれば、どれだけ集中できるかに大きく左右されます。
トップ営業は、一日のうちで最も集中できる「朝の時間」を有効利用しています。誰よりも早く出社し、誰もいないオフィスで、電話の鳴らないオフィスで、コピー機やプリンターを利用する順番を待つことがないオフィスで、集中して仕事に取り組みます。
仕事が中断させられることによる生産性の低下は計り知れないものがあります。始業後の環境は、集中が途切れることばかりが発生します。上司や部下からの問い合わせや質問、取引先からの電話など、仕事の邪魔をすることばかりです。
始業前の2時間は、始業後の4時間に値します。その生産性は倍以上です。
私の知るトップ営業は、朝早く出社してやるべきことをやり、雑音の多い日中は外回りに出ています。夕刻に帰社し、翌日の準備をして日報を書きあげたら、さっさと退社していきます。いつまでも残業をしているトップ営業というものを見たことがありません。
3.細切れ時間を上手に使う
営業担当者には、細切れの時間がどうしても発生してしまいます。取引先への移動時間、次のアポイントまでの待ち時間、商談室に入っても商談が始まるまで待たされることもあります。
そのような時間をボーっと過ごすのと、短時間でできる仕事や、中断しても支障をきたさない仕事をするのでは、大きな差が出てきます。
トップ営業は、細切れ時間を有効利用しています。私の知るトップ営業は、「過去を振り返る仕事」をしています。具体的には、日報や報告書の作成、交通費や経費の申請といった仕事のことです。
なぜ、過去を振り返る仕事なのでしょうか。それは、突然の中断を余儀なくされても影響が少ないからです。過去に起こったことをなぞる仕事は、すぐに振り返ることができます。事実を遡るだけのことだからです。忘れない限り、それは難しいことではありません。
一方で、新しいことを考えながら進める仕事は、つながりが重要となるので、中断してしまうと一からやり直しになること多く発生します。企画の提案や、商談の準備といった仕事は細切れ時間に行うことは、効率の悪いものとなります。
トップ営業の中には、細切れ時間で行う仕事と、まとまった時間でやるべき仕事がきっちりと仕分けされていて、外出の際に持ち歩くファイルの中には、細切れ時間で処理すべき仕事が入っているのです。
4.やることを決めている
「着手してしまえば、仕事の半分は終わったようなものだ」という言葉があります。
私の知るトップ営業は、とにかく着手が早いです。「さて、何をしようか」と考えている時間は皆無です。ひとつの仕事が終われば、すぐに次の仕事を始めます。
また、無駄な仕事がありません。やるべき仕事に的確な優先順位が付けられており、限られた時間の中で、最大の効果が発揮できています。
トップ営業がなぜこのようなことができるのかというと、それは、「やることリスト」を常に更新し、そのリストに従って仕事をこなしているからです。
メモ書き一枚です。その日のうちにやるべきことが、優先順位をつけてメモされています。その順位は変動します。飛び込みの仕事で重要なものがあれば、そちらを優先します。メモを見れば仕事全体が俯瞰できるので、迷うことがありません。やり漏れも無くなります。
メモの付け方は人それぞれですが、メモを付け持ち歩く行為は、トップ営業に共通するものです。
5.時間の代わりになるものはない
ピーター・F・ドラッカーも、その著書である「プロフェッショナルの条件」の中で、このように述べています。
「成果をあげる者は、時間が制約要因であることを知っている。あらゆるプロセスにおいて、成果の限界を規定するものは、最も欠乏した資源である。それが時間である」
時間の代替品は存在しません。その時間を有効利用できることこそ、トップ営業に近づく道です。みっつのポイントは、どれも難しいことではありません。簡単に取り組むことができる方法です。慣れてしまえば継続的な実行も可能です。
これらのうちのひとつでも取り組むことができれば、効果は得られることでしょう。
中小企業診断士 栗田 剛志
メールはt-kurita@m9consulting.bizまで願います。
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