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2010年 7月 「人材と組織のブラッシュアップ作戦」
中小企業診断士 藤川 利雄
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経営者は市場や顧客のニーズを捉え、提供する製品やサービス、提供方法などを考えて仕事の仕組み(ビジネスモデル)を作り出し、人材として社員を採用し、仕事を与え、やり方を教え、時にはその心身の状態にも気を配りながら、企業の継続と発展を目指しています。
また、現在は外部の状況のめまぐるしい変化に対処するため、情報を集め、仕事の仕組みを改善し、さらには新事業への挑戦を試みなくてはなりません。
そのような中で「社員の意欲が感じられない。思ったように動かない、考えて働いていない。言われたことしかしない。」と多くの経営者が言われるのは、どういうことでしょう。何が原因なのでしょうか。
「うち程度の会社に入ってくる社員は、優秀であるはずがない。この程度だと諦めている。または、判断をすべて私自身が行い、社員には決められたことを、決められたように実行することをのぞむ。」と初めから言われる経営者も、残念ながらいらっしゃいますが、そうでない限り正面から向きあわなくてはならない問題です。
現在はどんな業種・業態でも、仕事は同じ作業の繰り返しではありません。
製造業の職人のような仕事でも、つくるものや価格(販売価格とコスト)はドンドン変わっています。そのため作業には、不断の改善や工夫が必要です。
ましてや、日常的にお客様に対面する卸、小売業やサービス業では、社員個々の仕事のすべてで、不断の改善や工夫が必要なのは、言うに及びません。
このような状況の中では、経営者はただ愚痴をこぼし、嘆いているだけでは勝ち残れません。本気で社員と社内組織の活性化に取り組んでみてはいかがですか?
社員と組織のブラッシュアップには、様々は方法があると思いますが、次のような取組があります。その中の一部を取りだして実行しても有効性はあると思います。
ブラッシュアップの1例
1. 経営者の宣言
会社が環境変化を乗り越え、さらに発展するために、社員全員の奮起が必要であるため、経営者による現状説明と社員の戦力向上の活動を開始する旨を社員に告げる。
2.課題の確認と心の縛り開放
個別面談やグループ面談とセミナーなどにより、社員個々がもっている不満と積極的な問題意識を引き出すと共に、個人的な生きがい、将来への期待と計画(ライフプラン)などの人生の目的を思い出させ、仕事はその達成のための重要な手段であることを再確認させる。
<決められた仕事を日々こなす受動的な姿勢から、個人としての人生計画(ライフプラン)を遂行しようとする意欲的な主体への変化を助長する>
3.会社の現状の積極的な開示
それまでに財務や営業、生産等会社の現状を示す情報を、できる限りデータを示して開示し、会社の現状を積極的に知らせる。
<経営者の真剣さを示すためにも、経営参加意識を持たせるためにも、情報のできる限りの開示は欠かせないステップとなる。>
4.仕事の現状の確認
社員に担当の仕事の内容を書面に書き出させ、個々仕事の目的や理由を確認する。当たり前にしている仕事が目的や理由に合致しているかを確認する。
<1、2ケ月の作業実態を自己検証した上で、書面化する。部署別の小グループ活動としても実施する>
5.あるべき仕事の仕組みを作る
経営者と幹部社員とで、現在の仕事の遂行にもっとも適した仕組みを考え、それに合わせた組織の再編と社員の再配置を決定する。
<今の組織はいつ、どんな目的で造られたものですか?とりあえず、とりあえずの、やっつけ組織で続いて来ていませんか。>
6.新しい役割の仕事を確認する
社員に新しく役割の目的や理由、説明し、社員自ら担当の仕事を組み立て、書面化させる。経営者は面談等でその内容を承認する。
<書面化の過程は、社員の小グループ活動としても実施する>
7.人事上の処遇を決定する 。
新たな役割にあわせて、必要な人事上の処遇を決定する。経営者の本気度を示すためにも有効である。
けっして簡単ではなく、また時間も掛かると思います。
しかし、社員にはマンネリと卑小化から脱却させて、大いに自主性と責任を与えること、組織にはこれまの経緯や人間関係をひとまずおいて、仕事の合理性重視で再構築、再配置することは、必ず活性化に繋がります。
必要な専門的な知識は多くはありませんが、経営者と社員との間に緩衝材をおいてスムーズに進めるために、外部からの支援を活用ください。
(社長の社外ブレーン)藤川コンサルティングオフィス
中小企業診断士、特定社会保険労務士、1級ファイナンシャルプランニング技能士 藤川 利雄
メールはfujikawa@eurus.dti.ne.jpまで願います。
■―――――――――――――――――-―― NPOみなと経営支援協会−201007―■