特定非営利法人東京都港区中小企業経営支援協会NPOみなと経営支援


●2010年 5月「当たらない需要予測にも意味がある」

●2010年 5月「当たらない需要予測にも意味がある」

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2010年 5月 「当たらない需要予測にも意味がある」

中小企業診断士  福泉 裕 

メールはh-fukuiz@dg7.so-net.ne.jpまで願います。



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1.当たらなくても意味がある??

製造業や卸売業・小売業では、お客さまの注文に応えるため、ある程度前もって品物を生産あるいは仕入れしておくことが必要です。そのため、どうしても売れ筋商品の品切れを起こしたり、逆に売れない品物を余分に抱え込んだりしがちです。また、サービス業においても、利用客数・来店客数を見込んで、人や設備を用意しておかなければなりません。

すべて注文を受けてから手配できれば問題無いのですが、残念ながら、それではお客さまが待ってくれず、販売のチャンスを逃してしまう場合がほとんどです。

見込みで生産や仕入をしなくてはならないのであれば、大切なのは需要の見通しです。需要の予測が正確であれば、売れ筋の欠品と過剰在庫の発生の、両方を同時に防ぐことができます。しかしながら、往々にしてこの見込みが外れるというのも、また現実です。

「どうせ当たらないのだから、需要を予測したって意味が無い。適当に勘でやっておけばいいんだよ」という経営者もたくさんいらっしゃいます。でも、当たらない需要予測には、本当に意味が無いのでしょうか?

2.需要予測が外れるのはなぜ?

需要予測にはいろいろな手法がありますが、基本的には以下の2つから成り立っています。
@ 過去の実績データからトレンドを把握する
A 営業活動等を通じて得た将来情報を加味して修正する

@は、ソフトウェアに任せても答を出すことができますが、去年(先月)までの傾向が今年(今月)も続くとは限りません。世の中は日々変化しています。お客さまの嗜好はますます移ろいやすく、製品やサービスのライフサイクルは短縮化しつつあります。

だから、Aで、人の手により予測を修正するのですが、そこにも様々な不正確さが残ります。業界情報を収集できる範囲には限りがあるし、お客さまの予定だってしばしば変わります。天候の影響を大きく受ける商品もあります。金融危機をどれだけの人が予測できたでしょう・・・

3.需要予測は誤差のマネジメント

以上のように、様々な要因によって需要予測には不正確さがつきまといます。神様じゃないのだから百発百中なんて無理な話です。それでも、需要予測にはちゃんと意味があるのです。それはひと言で言うと、「誤差(外れ度合い)を管理する」ということです。

需要予測は外れるものですが、繰り返すことによって、だんだんと精度が向上して行きます。なぜ外れたのかその要因を分析して、次の予測に反映させるのです。
Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(修正)の、いわゆるPDCAマネジメントサイクルを回すことによって、「あまり当たらない」→「まあまあ当たる」→「ほぼ当たる」という具合に、レベルアップが可能になります。
この過程で、環境変化に対する経営者や営業担当者の感覚も、鋭敏になって行きます。

そうやって予測の精度を増して行ってもなお、「外れ」が残ります。誤差を完全に無くすことはできません。でも、それでもよいのです。なぜなら、今や残った誤差(=外れる度合い)を把握することができたからです。どのくらい外れそうかが分かっていれば、それに応じた適切な備えができます。適当に安全在庫を抱えているのとは、大違いです。

@PDCAサイクルによって、「無くせる誤差」を除いて精度を上げる
A残った「無くせない誤差」を把握して備える
ことができれば、需要予測は当たらなくても十分意味があるのです。

以上

中小企業診断士  福泉 裕

メールはh-fukuiz@dg7.so-net.ne.jpまで願います。



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