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価格政策A 「フリー」について
中小企業診断士 飯野純夫
メールはsumio221@apricot.ocn.ne.jpまで願います。
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以前、「キャプティブ価格戦略」について説明しました。
「キャプティブ価格戦略」とは、まずメーカーの主製品の価格を安く設定することにより消費者にアピールし、製品の市場への投入段階で新規顧客を囲い込み固定客化を図ります。そして、継続的に使用する付属製品の価格を相対的に高く設定することによって、全体として収益を確保する戦略でした。
たとえば、ジレットの髭そりと替刃の関係などがこれにあたります。
今、「フリー」(タダ)という本がベストセラーになっています。
いろんなサービスや商品を今度はタダで売ろうというものです。
タダのビジネスモデルには4つのパターンがあるといわれています。
@直接的内部相互補助
これは、サービスや商品を売るために、他の商品を無料にするという手法です。「キャプティブ価格戦略」はこのパターンになります。
A三者間市場
インターネット上の広告収入に依存する業者がこれにあたります。
私たちはインターネットで様々な情報をタダで入手できますが、これは、その情報(コンテンツと言います)に含まれている広告料金で成り立っており、結果として、広告料金が上乗せされた商品を私たちは買わされています。
Bフリーミアム
インターネット上で一部の有料ソフト購入者が多くの無料ソフト使用者の分を支払うというものです。
例えば、無料のパソコンゲームに飽きた人が、高度のゲームを楽しもうとすると、有料のゲームを購入することになります。
C非貨幣市場
これは、お金ではなく、作業や労働で対価を支払うものです。
アマゾンのブックレビューやウィキペディア等があります。
このように、今は世の中にタダのものが数多く存在し、皆さんも知らず知らずにタダのものを購入したり、逆にタダのツケを払わされていることでしょう。
日本経済新聞では、有料のインターネットニュースをスタートさせることになりました。
無料の「NIKKEI NET」が有料の「日本経済新聞電子版」になります。
無料のお試し期間があるので、「フリーミアム」に似ているともいえます。
今まで私たちは、どの新聞でもインターネット上で無料購読することができました。しかし、それを有料にしようというものです。
皆さんはどうしますか?日本経済新聞の性質上、株価や金利動向および為替相場に影響を与えるような経済情報が瞬時に読めるならば、投資家は購読するかもしれません。
私は、購読しませんが応援する気持ちはあります。
ここに、経営のヒントがあるからです。
究極の価格競争(タダ)に対抗するには、価値のあるものをターゲット顧客に提供することにより、少しくらい高くても顧客を囲い込むことができるのではないでしょうか?
「美味しい料理」、「丁寧でリラックスできる散髪」、「一つ一つ丁寧に仕上げるクリーニング」。
これらを突き詰めていけば、しっかりと常連客をつかむことができると思うのですが、いかがでしょうか?
中小企業診断士 飯野純夫
メールはsumio221@apricot.ocn.ne.jpまで願います。