特定非営利法人東京都港区中小企業経営支援協会NPOみなと経営支援


●2010年2月不況時の今こそワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を根付かせよう

●2010年2月不況時の今こそワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を根付かせよう

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「不況時の今こそワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を根付かせよう」

中小企業診断士  小谷 泰三

メールはt-otani@mtc.biglobe.ne.jpで願います。



■――――――――――――――――――――― NPOみなと経営支援−■

はじめに

戦前から戦後の高度経済成長絶頂期までは、多くの企業で働く人は「滅私奉公」が主流で、あまり家庭や地域社会を顧みず仕事一途に働いてきました。
地方から出稼ぎで都会に出てきた者は、子供の世話や両親の介護にも手を貸せず、両親の死に目にも会えず、仕事優先で働いていた企業戦士もいました。一方、企業で働く女性は、結婚すれば退職し専業主婦となり、家事・子育て、両親の世話を一手に受け持ち、職場復帰もままならずキャリアーウーマンが育たない土壌(世界でもわが国特有な状態)になっていました。

1990年代に入り、バブルの崩壊で3万9千円近くまでになった日経平均株価も急降下、2001年には1万円台を割込み、わが国の国際的な経済地位の衰退につながりました。
その間リストラや採用抑制が一気に高まり、就職氷河期が到来、若者の多くがフリーターや二―トとなり雇用の悪化も進みました。
正社員の長時間残業、管理職のサービス残業や過労死も問題視されてきました。また、一方では共働き世帯が過半数を超える時代となりました。

このような職場での仕事中心の状態を放置しておくと、健全な青少年が育たないことや少子化に拍車をかけることになり、将来のわが国の繁栄が期待できないところまで追い込まれるのではとの危機意識が盛り上がってきました。そこで国を挙げて働く者の生き方をサポートすべく、2007年に政労使の合意により「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」と「仕事と生活の調和推進のための行動指針」が策定され、政府全体での取組が始まりました。

■ワーク・ライフ・バランス(WLB)とは

上述のことからWLBとは何をしようとしているのかがお分かりと思いますが、ここで整理してみますと次のようになります。

1)就労による経済的自立が可能な社会の実現
女性の自立可能な社会、若年層の完全就業、高齢者の就業、人生の各段階でのニーズに応じた就業など

2)健康で豊かな生活のための時間が確保される社会の実現
過労の削減、年次有給休暇の有効取得、フレックスタイム、お互いの助け合い・コミュニケーションの活用など

3)多様な働き方・生き方が選択可能な社会の実現
育児、子育て、介護、リフレックス、年代に応じた自己のキャリアープラン実行な  


このWLBを活用していくのは、大企業や中堅企業のためのものではありません。これから生き延びるための活力ある中小企業の経営戦略として、早急に対応されることをお勧めします。

■WLBを実施していくための中小企業での推進方法

WLBを中小企業で有効に活用していくには、以下のような内容を推進していくことが大切です。

1)仕事と生活の調和に関する支援が出来る職場作り

まずは経営トップの理解とリーダシップとを発揮し、経営戦略として取り組むことが大切です。また、中小企業において、従業員の育児や介護負担を減らすために、各地域の行政機関でも数々の支援策を講じていますので、是非関係窓口で問い合わせてみてください。

2)従業員が抱える時間的制約等を十分に理解した働きやすい業務運営の実現

長時間勤務やムダな残業を止め、効率的な働き方を促進できるように就業規則や勤務時間管理に柔軟性を持たせることです。これには経営者だけでなく、管理者の意識改革やマネージメント能力の向上が欠かせません。
 
3)周囲の従業員の理解促進と能力向上

WLBを企業で採り入れると従業員ひとり一人の作業効率を上げなければならず、また仕事の範囲も拡大せざるをえません。
このことは“皆に迷惑をかけている”、“お互い様”といった意識が生まれ、チームワークが強固になり、職場の見える化が進み、従業員の能力向上と活性化に役立ちます。

4)企業の枠を超えた取組みの推進

WLBを行うには、顧客や取引先への理解も欠かせません。お互いに理解し合い、これらに関する情報交換のネットワークの構築により一層の効果を高めてください。

■WLBに取り組むことでの実証されてきたメリット

企業がWLBに取り組むことで、次のような多くのメリットをもたらすことが実証されています。
1)多様な生き方をする優秀な人材の定着・離職率の低下
2)企業イメージや評価が高くなり優秀な人材の採用・確保が可能
3)従業員の満足度や仕事への意欲向上
4)従業員の創造性や時間管理の向上
5)コスト削減
6)生産性や売上の向上
7)部下や同僚の能力・相互信頼やコミュニケーションの向上
8)従業員の健康管理の増進と病欠の減少
以上

中小企業診断士  小谷 泰三

メールはt-otani@mtc.biglobe.ne.jpで願います。


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