特定非営利法人東京都港区中小企業経営支援協会NPOみなと経営支援


●2009年12月波乱を乗り越えて世界一となったヨネックス

●2009年12月波乱を乗り越えて世界一となったヨネックス

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「 波乱を乗り越えて世界一となったヨネックス 」

中小企業診断士 平田 仁志
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現在は100年に一度と言われるほどの大不況の状況にあります。経営者の皆様はどうしたらこの危機を乗り越えられるだろう、と不安な毎日をお送りになっていることでしょう。

パナソニックの創業者松下翁は不況に対する心構えを次のように言っています。
「不況また良しと考える」、「原点に返って志を堅持する」、「再点検し自らの力を正しくつかむ」、「不退転の覚悟で取り組む」、「旧来の慣習、慣行、常識を打ち破る」、「日ごろからなすべきをなしておく」

好況の時には忙しくて日々の業務をこなすのに精一杯だったが、不況の今は時間だけは有る。このチャンスを生かして、ゆったりと余裕を持ち、しっかりと自分の事業を点検し活路を見出そうと言うことだと思います。

そのように考えるためには材料が必要ですね。問題を考えるとき何かと比べることにより考えるヒントが得られます。
何と比べるかと言うと過去の例や現在頑張っている他社の例と比べる、或いは自分が過去に苦難を乗り越えたときどうしたか改めて考えてみるということになります。

今回はそれこそ波乱万丈、何度も倒産の危機に瀕しながら必死で頑張り立ち直り世界一になったヨネックスのことを参考までに書いてみようと思います。

ヨネックスの祖業(もともとの商売)は何だったでしょう。
実は下駄屋さんです。お父さんの代には桐の下駄を作っていたのです。

下駄の将来性に見切りをつけていた米山稔社長(現名誉会長)は醸造用の樽の木栓の製造を始めました。しかしまもなく樽の栓は金属製のコックに取って代わられてしまい、次に桐を使った魚網の浮きの製造販売を始めます。

それが大ヒットし会社は急成長します。社長も26歳で村議会に出馬し当選するほどの勢いです。しかしプラスチックの浮きが発売されると桐製の浮きの市場が突然なくなってしまいました。その結果売上ゼロになり最初の危機に直面します。

社長は情報収集が出来ていなかった、と反省します。「世の中の動きに注意していれば早く手を打てたはずだ。」 この失敗を原点にしてヨネックスの経営は情報力・技術力と新素材研究を重視するようになったのです。

浮きが売れなくなって新たな商材を探していた社長はバドミントンのラケット製造に乗り出します。当時の有力メーカーの下請けとなり製造販売を始めますが、まもなくその有力メーカーサンバタが倒産してしまい多額の売掛金が残ります。再び倒産の危機です。

社長は追い詰められ自殺寸前となってしまいますがその時友人に声を掛けられ思いとどまりました。「もう一度死ぬ気でやり直すしかない。」と覚悟を決めて今度は自社ブランドで販売することにし大手の問屋に見込まれて販売が順調に進むようになったとき、また危機が襲います。工場が全焼してしまったのです。

出張先から帰ってそのことを知った米山社長は急いで会社に帰ります。類焼してしまったご近所へのお詫びをまず済ませた後、米山社長は今後の方針を考えます。

在庫は約一週間有る、その在庫がなくなる前に再建しなければ取引先の信用を失ってしまう。そう考えた社長はすぐ行動を起こします。3日で建て直すと決め無理を押して大工を手配し社員も総出の突貫工事で建て直しを始めました。すぐ決断したので社員も元気を取り戻し3日で生産が再開できるまでになりました。

このことが逆に取引先の信用を勝ち取ることになったのです。生産設備もこれを機会に最新の機械に総入れ替えし、生産効率と品質の向上につながりました。
米山社長はその強い意志の力でピンチをチャンスに変えることができたのです。

その後も安い台湾製の台頭等経営環境の変化は続きます。
しかし、常に市場動向の先を見ていた社長は変化を先取りし、高級品に絞り込む等経営革新を継続しついにバドミントンのラケットで世界一になるのです。

本当に波乱万丈、何度も倒産の危機に瀕しながら見事に危機を乗り越え成長してきたヨネックスの話は、現在の不況に苦しんでいる多くの社長に希望を与えるものだと思います。

再び松下翁の話で締めくくります。
「最近売上が下がってきてどうしようもないのですが何か智恵は有りませんか」と聞かれた松下翁は「血の小便が出るほど頑張りましたか」と問い返したそうです。

その答えを聞いた問屋の社長は「そうだこれまでは日中の仕事が終ったら、やれやれと休んでいた。それでは駄目なんだ」と思ったのですね。すぐ夜中に販売先を回りお店の陳列の手伝いをしたり、経営相談に乗ったりすることを始めました。そして一年後には見事売上倍増を実現したということです。

経営環境の変化をよく見る、徹底的に「血の小便」が出るほど頑張る。そこまでして乗り切れない不況はないのだと思います。

厳しい経営環境での経営者の皆様のご健闘をお祈りします。

短い文章では細かなことがご説明できませんでしたが、お会いして話すことができればもっと詳しく具体的に説明することが出来ます。

中小企業診断士は厳しい経営環境を乗り越えようとする経営者の皆様のご支援に全力を尽くしています。いつでもご相談ください。

中小企業診断士 平田 仁志
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