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「 予算達成のための進捗管理 」
中小企業診断士 栗田 剛志
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予算の達成とは、日々の活動の積み重ねによって成し得るものです。ある日突然予算が達成できるわけではありません。期末になって商品を押し込むことで、どうにか予算を達成するというやり方は、いつか通用しなくなります。ましてや、財布の紐が固い昨今、商品を押し込んだとしても、いずれ自分の元に返品となって返ってきます。
●なぜ、予算を達成するのは難しいのでしょうか。
予算達成に至らない理由の代表的なものを5つ挙げてみます。
@予算自体に無理がある
A計画が現実的ではない
Bイレギュラーな仕事ばかりで計画通り進まない
C具体的なアクションが成果に結びつかない
D管理がなされておらず、終わってみたら達成できなかった
理由は様々であるでしょうが、今回は、C、Dに着目し、営業担当者とマネージャーの「二人三脚の進捗管理」についてご案内します。
予算を必達させるには、案件ごとの進捗管理が必要です。担当者任せにするのではなく、マネージャーと二人三脚で案件の進捗を追っていく必要があります。それは、経験豊かなマネージャーからの指示と、マネージャーと担当者の当事者意識からの深追いを避けるための客観的な視点、および全体管理が必要だからです。
案件ごとの進捗を管理するには、コミュニケーションツールが必要です。ITに載せたものはいくらでもありますが、汎用性が効くように、基本的な原理となる仕組みを紙に落としたものとして紹介します。
予算達成の進捗管理で必要なことは、それぞれの案件の進み具合を把握し、次に打つべき手を先手先手と考えることです。結果が出てから動くのでは手遅れとなります。手放すべき案件をしつこく追ったばかりに新しい案件に手をつけることができなかった、あるいは、担当者任せにしていたため当てが外れた、といったことも発生します。
それらは、「情報が足りない」、「現状が見極められない」、「当事者意識が働き客観的な判断ができない」、「しかるべき手を打つ指導ができない」などが挙げられます。
●では、どうすればよいでしょうか。
進捗管理をするには、「見える化」することが必要です。
「見える化」とは、そんなに難しいことではありません。
@営業担当者の「具体的なアクション」、
A「相手の反応」、
B「次の予定」を文字にすることと、
C「現在の段階」を見える化すること
こうすることで、「見える化」できるようになります。
どの案件が、どこの段階で滞っていて、その原因が何なのかをマネージャーも分析しやすくなり、アドバイスも的確になります。
受注確度の分析も必要となります。今追っている案件の受注確率はどのくらいなのかを担当者とマネージャーで見極める必要があります。営業担当者の主観的な確度の判断は、ブレが生じやすくなります。現場から降りてくる情報から、マネージャーの客観的な判断が必要になります。
そのためには、「具体的なアクション」と「相手の反応」といった事実と、「次の予定」を報告させることで可能となります。
次に、報告書による進捗管理を成功させるための3つのポイントを紹介します。
1つ目のポイント
報告書を継続させることです。
報告書を継続させるには、内容をできる限り簡易にして営業担当者の負荷を増やさないようにしなければなりません。一方、マネージャーとして判断するために必要な情報は現場から報告させなければなりません。
ただ書かせるのではなくマネージャーは何が知りたいのかを営業担当者に伝え、何を書くのかを指定します。そうすれば、マネージャーにとって余計な情報が入り込みませんし、書く方も焦点を絞って書くことができます。
また、次の予定を営業担当者に書かせることで、自分自身で考えるようになります。次のアクションを事後でなく事前に指導することができます。これは、部下の育成につながります。
2つ目のポイント
マネージャーからのタイムリーなフィードバックです。
何日分も目を通さずに、報告書が溜まってしまい、営業担当者に返却した時には商談が終わってしまっていた、あるいは、アドバイスをしたはいいが、商談までに時間がなく、準備が間に合わなかった、といったことが発生します。
これでは、毎日提出する立場にある営業担当者に示しがつきません。進捗管理の本来の意味もなくなってしまいます。マネージャーは、その日の報告書は、必ず翌朝午前中までには目を通し、フィードバックする必要があります。
3つ目のポイント
会話でのコミュニケーションを増やすことです。
書面でのやりとりは要点を絞ることで最小限とし、気になるところは会話で深掘りしていきます。
報告書に目を通したマネージャーは、翌朝営業担当者に声をかけて面と向かって指導するのが一番よいでしょう。それができない場合でも、少しでも気になれば電話でもなんでも時間を作って話すべきです。
報告書のやり取りで終わらせるのではなく、会話を通じて案件への理解を深めていきます。
以上、予算達成のための進捗管理について、ご説明いたしました。3つのポイントに注意しながら、ぜひとも進めてみてください。
以上
中小企業診断士 栗田 剛志
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