特定非営利法人東京都港区中小企業経営支援協会NPOみなと経営支援


●2009年9月「今日からできる飛び込み営業と新規開拓営業」

●2009年9月「今日からできる飛び込み営業と新規開拓営業」

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「 今日からできる飛び込み営業と新規開拓営業 」

中小企業診断士 栗田剛志
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● 嫌われる(?)飛び込み営業

「営業」と一言でいっても、業種や業態によって様々なスタイルがありますが、大きく二つに分けることができます。新しいお客様を開拓する営業と、既に取引のあるお客様をフォローする営業です。

新規のお客様を開拓することは、既存のお客様のフォローに比べて、何倍もの労力とコストがかかると言われています。しかし、企業が成長していくには、新規顧客開拓をし続けなくてはなりません。
どんな大きな会社であろうとも、新規のお客様が増えなければ、衰退してしまいます。一つのお客様への売り上げを増やすにしても限界があります。また、多くの取引先を持つことで、リスクを分散させる必要があるからです。

新規顧客開拓の方法にもいろいろありますが、最もオーソドックスな方法に飛び込み営業があります。広告やDMを打つことでお客様からの反応を待つのではなく、いま目の前にいるお客様に対してアプローチする方法ですから、手っ取り早く、余計なコストがかかりません。その半面、なかなかうまくいかないというもの事実です。うまくいかないのがわかっているので、誰もがあまりやりたがりません。

新規顧客開拓は、会社にとって重要な仕事なのですが、いろいろある営業方法
の中でも、一番嫌われるのがこの「飛び込み営業」なのです。

● 飛び込み営業はなぜ嫌われるか?

では、なぜ飛び込み営業は嫌われるのでしょうか。理由を三つ挙げてみます。

(1) 飛び込みが新規顧客開拓につながる時代は終わった

右肩上がりの時代では、お客様との接点を増やせば増やすほど売ることができました。需要が供給を上回っていた時代なので、他の営業方法に比べて確率は低くとも、結果につながる仕事であったので、それほど抵抗感なく行うことができました。

しかし、物があふれ、情報がこれだけ自由に飛び回っている今の時代では、ほとんどのお客様は満たされています。そのため、新しいものを欲しいとはなかなか思いません。お客様は、何か欲しいものがあれば自分から情報を得ようとしますので、話すら聞いてもらえない状況です。

つまり、今の時代、飛び込み営業は結果につながりにくい営業方法と言えます。結果の伴わないことを続けるほどつらい仕事はありません。短期的な結果につながらないことが嫌われる理由の一つめとなります。

(2)結果が伴わないので評価されない

営業は、結果がすべてです。お客様との間で、モノやサービスとお金のやり取りが成立することで評価されます。極端な話、成約さえすれば、そこに至るまでのプロセスはどうでもいいということとなります。

このような評価方法は果たして正しいのでしょうか。いろいろな考え方はありますが、今、成果主義という評価方法が見直されつつあることが、その答えとなっているでしょう。
つまり、営業の仕事においても、結果だけでなく、そのほかにも評価されるべき仕事はたくさんあるのです。たとえ短期的な結果につながらなくても、長期的に見れば重要な仕事というものがそれにあたります。
そのような仕事に費やした時間や労力が正当に評価されなければ、その仕事は嫌われてしまいます。
結果の伴わない飛び込み営業が、なかなか評価の対象にならないことが嫌われる2つ目の理由となります。

(3)冷たくあしらわれ、話を聞いてもらえない

人は、売り込まれることを嫌います。こちらにまったくそのような気持はなくとも、騙されるのではないか、無駄な時間を費やすことになるのではないかと予防線を張り、強い抵抗感を持ちます。

お客様は、突然やってくる人から提供されるものに欲しいものなんてあるはずがないと考えています。
また、一度話を聞き始めると、途中で断ることが難しく思えます。欲しいものではないとわかっても、話の腰を折るのに気が引けるからです。断ることができず時間が無駄になってしまったことは、誰もが一度は経験していることです。

このように、お客様は、飛び込み営業で来た初めて会う人となかなか話をしようと思いません。営業パーソン自身は、お客様のことを考えて、お客様に合った提案したいと考えていても、話を聞いてもらう土俵にすらあがることができないのです。どれだけ高い志を持って営業活動を行っても、飛び込めど飛び込めど断られ、話しすら聞いてもらえなかったら、誰だって嫌になります。

お客様の嫌な思いをした過去の経験からか、ひどい言われようをして、傷つくこともあります。
誰も人から冷たい態度を取られたくはありません。それが仕事だとわかっていてもつらいものです。中には、精神的にタフな人もいるでしょうが、そんな人ばかりではありません。
悪いことをしているつもりはないのに、冷たくあしらわれたり、罵声を浴びせら
れたりする。これが、嫌われる3つ目の理由です。

● 飛び込み営業を楽しくする三つの方法

先にも述べたように、新規顧客開拓というものは、企業の存続にかかわる活動です。これを行わなくして、企業は繁栄できません。
しかし、誰かがやらなければならない大事な仕事であるにも関わらず、みんなやりたがらないのが現実です。これでは、会社にとってマイナスとなってしまいます。

そこで、飛び込み営業をやりがいのある仕事に変える具体的な方法を三つほど紹介させていただきます。

(1)飛込み営業に結果を求めない

営業は結果がすべてであることは、どの世界でも変わりはありません。しかし、この飛び込み営業に対して結果ばかりを求めるには無理があることを、先にも述べました。
 
従って、やりがいのある飛込み営業にするには、結果につながりにくい仕事であるということを認め、それに合った目標を設定することが必要です。

飛び込み営業は新しいお客様を獲得することを目的とします。しかし、行った活動が結果に結びつくとは限りません。よって、定める目標を「どれだけ種を蒔いたか」に設定します。収穫できる量を目標にすることはしないようにします。行うこと自体を目標とし、それに伴う結果を求めないようにします。

訪問先のお客様とは、「コンタクトが取れなくてもともと、挨拶できただけでラッキーだ」というくらいの気持ちで臨ませる体制や雰囲気作りをします。こうすることで、飛び込み営業の結果に対する圧力を和らげます。

(2)見込客にできたら評価する
業績評価をする際に、たとえその期間中に成約に至らなくても、新しい見込み客にすることができたら、それはプラスの評価とします。

受注金額という営業成績が目標に至らなくとも、飛び込み営業で多くの見込み客を獲得することができたなら、それは、マイナスを補う形での評価にします。なぜなら、長期的にみたら会社にとってはとてもメリットのあることだからです。

「お宅の商品が欲しい」とお客様の方からやってきた商談を成約することは誰にでもできます。まったく面識のないお客様を見込み客とし、そのお客様とじっくり話をして成約につなげることができた商談こそ、評価の対象とすべきです。

その第一歩である飛び込み営業を、見込み客を増やす大事な仕事としてきちんと評価することで、営業パーソンのモチベーション向上を図ることができます。

(3)会社がバックアップする

初対面のお客様に対して、抵抗感なく受け入れてもらうにはどうしたらいいでしょうか。

その答えを営業パーソン個人に求めては、なかなか解決に至りません。ただ単に、営業パーソンを飛び込み営業の現場に投げ入れるのではなく、会社として営業パーソンをバックアップするツールを用意することが必要となります。

それは、お客様に話を聞いてもらうためのセールストーク集であったり、興味を引くようなチラシであったり、粗品であったりと様々です。
一人でも多くの見込み客を作るために、現場と一緒になって具体策を講じていかねばなりません。
お客様との直接のコンタクトが難しいのであれば、売込みをすることなしに、何かを置いてくることでお客様の意識の中に刷り込めるツールを準備するといいでしょう。

たとえばチラシです。話をきいてもらえなければ、「チラシを置かせていただきますので、時間があるときに目を通しておいてください」と一言添えて、置いてくるのです。

そのチラシも、商品説明のためのチラシではなく、自分を紹介するチラシを置いていきます。商品を前面に出すのではなく、営業パーソン自身の紹介をメインにし、商品については営業パーソン自身の思い入れ程度にとどめておきます。まずは、人物を知ってもらうことで安心感を与え、次回訪問時には、初めてではないような感覚を与えることができます。

また、次の訪問の予定を書き込む欄を用意して、「次は、○月●日の何時くらいに伺います」といった内容を書いておきます。すると、お客様自身ははっきりと覚えていなくとも、不意の訪問よりもずっと受け入れてもらえる可能性が高くなります。

以上、飛び込み営業をやりやすくするための方法を三つほど紹介いたしました。

ものを売るのが難しい時代と言われています。しかし、すべてのお客様が一様に満たされているわけではありませんし、お客様自身が気づいていない問題や課題もたくさんあります。お客様自身も、もらえる情報が自分にとって有益な情報であれば欲しいと思っています。ただ、いきなり目の前にやってきた見知らぬ者から何かを買ったり、情報を得ようとは思わないのです。

売り込む側と売り込まれる側の、双方が嫌がる理由をうまく排除することで、効果的な営業活動に結びつけていきましょう。                    以上

中小企業診断士 栗田剛志           
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