特定非営利法人東京都港区中小企業経営支援協会NPOみなと経営支援


●2009年7月顧客の視点に立ったマーケティング(4P、4Cと時間)

●2009年7月顧客の視点に立ったマーケティング(4P、4Cと時間)

■経営お役立ち情報  ビジネスヒント情報―――――――――――■

「 顧客の視点に立ったマーケティング(4P、4Cと時間) 」

中小企業診断士 栗田 剛志  

■―――――――――――――――――NPOみなと経営支援協会■

マーケティング戦略を考えるときに、よく使われる手法として「マーケティングの4P」があります。これは、ターゲットとする市場から、望ましい反応を得るために考えるべき4つの要素のことをいいます。

具体的には、頭文字が、
「P」である「製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotoion)」のことをいいます。
これらの4つの要素から、お客様に対してより高い価値を提供し、企業がより高い成果を得るための戦術や方法を考えていきます。

このマーケティングの4Pはシンプルで使い勝手のよい枠組みとされている一方、考える視点が作り手側に立つことが多くなってしまい、作り手の独りよがりとなってしまう傾向があります。

企業からの相談を受ける中で、マーケティングの4Pで考えたものの、お客様の視点が抜け落ちており、戦略としてうまくいっていないといったことがよく見受けられます。

「お客様の視点に立つ」
これは、言葉で言うのは簡単ですが、実際行ってみるととても難しいことであることがわかります。

今回の本コラムでは、お客様の視点に立つにはどうしたらよいかをお伝えしたいと思います。

マーケティング戦略を策定する際に、顧客の視点を取り入れるためのツールとして「4C」というものがあります。「4P」の各々に、掛け合わせるものが決まっており、

製品(Product)       × 顧客価値(Customer value)
価格(Price)         × 顧客負担のコスト(Customer cost)
流通(Place)         × 利便性(Convenience)
プロモーション(Promotion)×コミュニケーション(Communication)
という組み合わせになっています。

4Pそのものでは、作り手側からの視点に偏りがちになりますが、この4Cを踏まえることで、強制的に顧客側からの視点に立つことができるのです。
視点は一つではありません。作り手の視点があれば、お客様の視点もあるし、競合の視点だって考えられます。原材料を仕入れる取引先からの視点が必要となることもあるでしょう。

物事には、様々な側面があるように、マーケティングにおいても様々な視点から考える必要があるのです。

ここでは、お客様の視点に立つための簡単な方法をお伝えいたします。

その簡単な方法とは、マーケティングの4Pそれぞれに「時間」を掛け合わせるのです。

「製品」に「時間」を掛け合わせてみると、どんなことを思い浮かべることができるでしょうか。
例えば、「トレーサビリティ」とは、製品の製造過程を時間にそって遡っていくことをいいます。これは、お客様が求める「安心・安全」を理解していただくために、製品そのものを時間軸に従って明らかにしていくことにほかありません。

「価格」に「時間」を掛け合わせてみましょう。
最近よく見かける、10分1,000円の床屋も「価格」と「時間」を掛け合わせたアイデアであると言えます。従来の床屋とは、カットして洗髪をし、髭をそってマッサージをするといった一連のサービスを1時間程度で受けるものです。一方10分1,000円の床屋は、過剰なサービスは必要ないから必要最低限のサービスで時間を短く、なおかつ安く済ませたいというお客様の視点に立ち、ニーズを掴んだサービスであるといえます。

「流通」に「時間」を掛け合わせてみます。
これは、みなさんよくご存じの通信販売やインターネットでの販売があります。家に居ながらにして買い物ができることは、お客様は、お店に出向く必要がなく時間を節約することができます。欲しい商品を探すのも容易となりました。

最後に「プロモーション」です。
「ジャパネットたかた」というテレビ通信販売の会社をご存じでしょうか。あの会社はその日に紹介する商品を放送の30分前に決定するそうです。すべて自前により、生放送で商品を紹介することで、その日の天気や話題になっていることを踏まえた商品紹介ができるのです。これが録画であると、その日に雨が降ろうが、どんなイベントがあろうが、決められた商品の宣伝を行うしかありません。ジャパネットたかたは「時間」を味方につけて、お客様に効果的な販売促進を行っているのです。

以上のように、お客様の視点に立つということを難しく考える必要はありません。お客様に時間を有効に使っていただくにはどうしたらいいか、自社の時間をどうしたらお客様に還元できるかといったように、物事に「時間」という概念を掛け合わせて考えてみるとおのずとお客様の視点に立つことができるのです。

これは、「時間」というものが、すべての人に平等に与えられているからだと思います。どんなにお金持ちでも、どんなに頭が良くても、1日24時間を変えることはできません。様々な経営資源がある中で、時間だけは、失うと取り返しがつかないものなのです。

この事実は、なかなか気づきにくいがゆえに、時間を意識した考え方をすることが難しいのです。
                                        以上

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