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「強いところはより強く!第2創業の成功要因!」
中小企業診断士 柴原 廣次
■――――――――――――――――――――NPOみなと経営支援■
●第2創業とは、客観的に自社の見直しを行い、あたかもこれから創業するように、経営の多角化や事業転換などを図ることを言います。すなわち、ミクロ的には、自社の強み、弱みの分析、マクロ的に外部環境が自社に与える機会と脅威を分析し、強いところはより強く、弱みはカバーして新しい事業展開を行うことです。
●「第2創業」の必要性
企業の寿命は30年と言われることもあるように、変化の時代を乗り切るためには、経費の削減や設備の縮小など、うしろ向きの対症療法では無理という状況が起り得ます。中長期的な企業の発展を望むには、時代・環境に適応した事業展開が必要になります。既存の事業、今まで手掛けてきた商品やサービスが、変化の激しい顧客ニーズから外れてきてはいませんか。
●次は、ある健康関連商品卸売業、S社の社長が行った自社のSWOT分析の結果です。
*SWOT分析は以下のように区分表示するのが一般的ですが、ここでは上手く表示できませんので枠組みだけを示します。それぞれの分析結果を落とし込むようにしてください。
(SWOTとは、それぞれの頭文字を組み合わせたものです)
■内部経営資源
◆自社の強み(Strength)
@オリジナル特許商品、ABABを保有している(医療用具承認番号5B第0307号)
A健康関連商品の雑誌媒体における販促ノウハウ(パブリシティ戦術)と人脈があること
B健康関連商品の販促の制約(薬事法など)を熟知していること ◆自社の弱み(Weakness)
@健康関連雑誌媒体の広告宣伝力の弱体化
A仕入先の減少、ヒットするアイデア・特許商品の持込み減少
B進出したいWeb通販ビジネスの、ノウハウとスキルが圧倒的に不足している
■外部経営資源
◆機会(Opportunity)
@中高年齢層の増加による健康志向の高まり
A臭い、汗、体毛などを嫌う若年層マーケットの存在
BWeb通販を多用するアンチエイジングに強い関心を持つ40代女性とアプローチの可能性
Cデジタルメディアの進化により、Web通販への進出が容易となったこと
◆脅威(Threat)
@従来の卸売業態による事業継続の困難度の高まり
A新規参入するWeb通販事業での競争劣位
B健康関連産業分野への大手企業の参入による競合の激化
●SWOT分析が万能ということではありませんが、この表からも従来の、健康関連雑誌媒体を活用した卸売業のビジネスモデルが苦境にあり、インターネットでのWeb通販に意欲を見せていることがわかります。
●さて、ここで表題の「第2創業の成功要因!」ということの検証です。
S社の最大の強みは、オリジナル特許商品、「ABAB」を保有していることです。このオリジナル商品を核としたS社のブランドと外部資源であるデジタルコンテンツとの組合せにより、新規事業が可能となります。
●S社における第2創業の成功要因!
@自社の強みを生かせる参入分野を選んだこと。
S社は卸業から小売業(Web通販)へ進出しましたが、自社開発商品という強みは決して放棄していません。自社の強みを活かすための業態転換となっています。
A次にS社の最大のネックである、Web通販ビジネスの、ノウハウとスキル不足を解消するため、社内人材を育成するとともに、当面外部専門家のノウハウ活用を行っています。
B健康関連商品は、ニッチな分野のこだわり商品ですから、お客様が購買に当たりネットで十分調べたいというニーズがあります。Webサイトでは、FAQの設置、問合せ対応の良さ、モニター顧客の声、購入者アンケートの掲載等で対応します。
●前回、取り上げられた「経営革新計画の策定」への挑戦の中でも「新たな取り組み」としてSWOT分析の考え方が出ています。この不況を乗り切る戦略として第2創業を検討されているのであれば、そのお手伝いは、是非、「NPOみなと経営支援」へお申し付けください。