●価格政策@ 「キャプティブ価格戦略について」
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価格政策@ 「キャプティブ価格戦略について」
中小企業診断士 飯野純夫
■―――――――――――――――――NPOみなと経営支援協会■
価格競争といえば、低価格にばかり目が向きがちですかお客様は必ずしも安さだけでなく、リーズナブルな価格であれば納得して購入してくれるのです。工夫してわけありの価格を設定しましょう。
マーケティング・ミックスにおける価格戦略には、@「キャプティブ価格戦略」A「スキミング・プライス戦略」B「プライス・ライニング戦略」C「抱き合わせ価格戦略」等がありますが、今回は@の「キャプティブ価格戦略」について説明します。
キャプティブ(Captive)とは捕虜という意味で、聞こえは悪いですが様々な製品で採用されている価格戦略です。
まずメーカーの主製品の価格を安く設定することにより消費者にアピールし、製品の市場への投入段階で新規顧客を囲い込み固定客化を図ります。そして、継続的に使用する付属製品の価格を相対的に高く設定することによって、全体として収益を確保する戦略です。なお、この「継続的に使用する付属製品」をキャプティブ製品と言います。
キャプティブ価格戦略の具体的な例としては、古くは、ポラロイドカメラとフィルムの関係があり、カメラ本体の価格を低く設定して、フィルムの販売で収益をあげていました。また、剃刀本体と専用の替刃の関係も同様です。
現在ではパソコンプリンターと純正インクカートリッジの関係があります。特に、現在市販されているパソコンプリンターは、プリンター機能の他に、コピー機能、スキャナー機能、FAX機能などが揃っていて高機能であるにも関わらず、以前と比べてかなりの低価格になっています。
一方、インクカートリッジはどのメーカーも高価格になっており、しかも、保証期間内にプリンターが故障した場合でも、純正インク以外のインクを使用していると保証の対象外にすることにより、自社製品以外のインクカートリッジを購入しにくくしています。
なお、製品ではありませんが、ラスベガスのホテルの宿泊料金は各室の広さや豪華さにもかかわらず相対的に低く設定されているようです。これは宿泊料金で収益をあげなくても、カジノで収益をあげれば良いという発想から価格設定されています。
以上は、主製品メーカー等がキャプティブ製品の製造を内製化や子会社化によって全体を取り込んでいる例です。
また、携帯電話についても同様に、機種変更に比べ、新規購入の場合の携帯電話機は非常に低い価格設定になっています。これは、購入後の通話料金で収益をあげることができるためです。ただし、インクカートリッジの場合などと違い、携帯電話機製造会社と携帯電話会社が異なるため、事態は複雑になっています。
@はここまで A以降順次掲載
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