SWOT(「強み(S)」「弱み(W)」「機会(O)」「脅威(T)」)の作成について
今年のNHK大河ドラマのタイトルとなっている
甲斐武田軍の軍旗「風林火山」の言葉は、
中国古代の兵法書「孫子」に記されたものです。
このほかにも「孫子」の中の有名な言葉に、
「彼を知り己れを知れば、百戦殆(あやう)からず」との言葉がありますが、
これと同じ事が現代の経営戦略の手法にもあります。
SWOTと呼ばれるものです。
自社の「強み(S)」「弱み(W)」「機会(O)」「脅威(T)」を書き出すこの手法は、
とても有名な手法であるため、知識として知っている方も多いと思います。
しかし、実際に作成されたからは少ないのではないでしょうか。
この4つは書き出さなくとも普段から考えていたり、
「よく判っている事」だと思います。
しかし、頭の中で考えただけでは、洩れがあったり重複していたり、
意外と漠然としているものです。重要なのは紙に書き出す事です。
定期的に(年1回)書き出す事で、実際の行動に移れるのです。
【自分を知る】
まずは自社の「強み」は何でしょうか。
例えば、蓄積されたノウハウ、高い技術力、魅力的な商品・・・
これは競争力の源泉となるものです。
逆に「弱み」は何でしょうか。
中小企業では人・モノ・金・情報のどれも少ない事が多く、
数え挙げればキリが無いのかもしれません。
特に弱いと思うことを書き出してください。
【外部環境】
次にマーケットの環境や競合他社について考えます。
例えば、「新技術の開発による新たな顧客層の拡大」等、
これから自社のマーケットに訪れる追い風=「機会」を挙げて下さい。
一方の逆風=「脅威」はどうでしょうか。
近隣に大手のお店が開店するなど競合の登場が挙げられます。
例えば、顧客ニーズの変化や業界の規制緩和がある場合、
既にその業界に居る企業であれば新規参入者の出現が「脅威」となりますが、
新規参入する「機会」と捉える企業もあるでしょう。
繰り返しになりますが、
考えるだけでなく、これらを実際に文字として紙に書き出すことが重要です。
これも中国の古い言葉に「真知即行」があります。
「真知は即ち行たる所以なり、行なわざればこれを知というに足りず、
未だ知りて行わざる者あらず、
知りて行わざるはただ是れ未だ知らざるなり」
実際に書き出してみてください。新たな発見があるでしょう。
書き出しましたら、次に組み合わせてみましょう。
今後到来する機会(O)に対し、当社の強み(S)をどの様に活かす事ができるか、
具体的に考えてみましょう。
施策にまで考えられれば、これは成長の源になります。
逆に弱点(W)が脅威(T)と重なると、決定打を受ける事となってしまいます。
脅威が大きければ大きい程、
何か事前にしておく対策が必要になります。
同様にS×TやW×Oも考えて見ましょう。
対応できる事項は手当てしておく事が望ましいでしょう。
但し、弱みの対応は経営資源が分散されるので、必要最小限に留め
強みの強化に経営資源を集中させましょう。
単に「一生懸命努力すれば報われる(成果に繋がる)」訳ではありません。
それは、日本全体が右肩上がりだった時代のことでは無いでしょうか。
これからの競争激化の時代では、成果として現れる様に、
重要ポイントを定めて、無駄なく努力する事が重要だと思います。
新たな事業計画を立てる前に、
ぜひ、SWOTを作成してみてください。
ご要望があれば、我々診断士がお手伝いさせていただきます。
NPOみなと経営支援 松崎 邦彦